今春千歳川で溺れた70代女性を、通り掛かった千歳市栄町の元自衛官森田泰夫さん(64)と北広島市輝美町のホクリョウ千歳GP工場長の中山俊悟さん(49)が連係プレーで無事救助した。19日、千歳市消防本部で佐藤孝一消防長から2人に感謝状が贈られた。
事故は3月19日午後3時すぎに発生した。千歳川左岸でジョギングをしていた森田さんは、ママチ川との合流部に当たる市内青葉1付近の千歳川で溺れて救助を求める女性を発見。平和橋を渡り、対岸の女性の元に向かう途中、車で通り掛かった中山さんに通報を依頼。中山さんは直ちに警察と消防に通報しパトカーと救急車を現場に誘導した。森田さんは高さ2メートルの護岸に阻まれ救助ができず、川べりで木枝をつかみ震える女性に浮輪を投げ入れ、救助が到着までの10分の間、女性に声掛けをして励ましたという。
森田さんは「最初は若者がふざけて川に入ったのだろうと思ったが、女性と目が合い、『助けて』という声を聞いて溺れていると分かった」と振り返る。中山さんも「自分に手を振り、駆け寄ってきた森田さんに通報を頼まれた。状況を的確に伝えることだけを考えました」と話す。
事故当時は、雪解けで増水した川の水は冷たく、女性は低体温症になったものの、けがはなく無事だった。2人は「あの状況に直面すれば誰でも同じ行動を取ります。無事でよかった」と目を細めた。
佐藤消防長は「早期発見と的確、迅速な判断で人命を救助していただいた」と2人をたたえた。