安平町遠浅地区にある自然体験農園「とあさ村」は16日、JR遠浅駅近くの空き家を使って立ち上げたコミュニティーサロン「みんなの家」の内覧会を開いた。普段は地域交流の場として開放し、セミナーやイベントなどで住民らにも提供。災害時には障害を持つ人たちが安心して身を寄せることができる避難場所として機能させる考え。新型コロナウイルスの影響でオープンは延期になる見通しだが、村長の青木明子さん(52)は「地域の方たちに知ってもらい、にぎわいを創っていきたい」と意欲をうかがわせる。
コミュニティーサロンは、遠浅駅近くにある平屋の空き家を確保し、クロスを貼り替えるなどして改装。カウンターにテーブルなどをそろえたカフェテリアと別室もあり、ゆったりとした空間を創出している。資金は町の助成をはじめ、インターネットで資金を調達する「クラウドファンディング」で166万円を集めた。
立ち上げるきっかけとなったのは2018年9月に胆振東部地震で被災した際、障害のある人たちが一般の避難所で生活するのが難しいと感じたからだ。青木さん自身も発災直後、自宅が停電し、自閉症を抱える息子の功士さん(22)が非日常的な生活からパニック状態になることを心配。「息子のように不特定多数の人が集まる所に行けない人が避難できる場所がない」と知って決心した。
コミュニティーサロンには広々としたスペースにテーブルやキッチンカウンターを設けたほかオフィス機能も。農園の就労支援作業所、備蓄庫なども備える。普段はイベントやワークショップなどにも活用してもらい、多くの人が集う場に。災害時には障害を抱える人たちも安心して身を寄せられる環境を整えていく。青木さんは「人々が支え合うような居心地の良い場所にできたら。他の地域でも、この活動が広がっていけばうれしい」と笑顔を見せる。
みんなの家は当初、23日の開設を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で政府が「緊急事態宣言」の地域を全国まで広げたため延期になった。オープンは未定で、青木さんは今後の状況を見ながら判断する。