今年4月に創部した駒大苫小牧高女子硬式野球部は11日、同校グラウンドで初練習に臨み、ベースボールの大海原へ船出した。男子野球部が夏の甲子園を最初に制した2004年度生まれの1年生24人が新たな栄光を追い求める。茶木圭介監督は「1年目から日本一を目指す」と意気込んだ。
午前9時、冷たい小雨が降ってくる同校敷地内のソフトボール場に向かってスタジアムジャンパーを着た全員が整列し、大声のあいさつから練習が始まった。
茶木監督が選手を集め、「きょうの練習が日本一につながる第一歩だと思って練習に臨んでほしい」と檄(げき)を飛ばした。集団で行ったランニングでは、隊列や歩調をそろえた走りを見せ、早くもチームの一体感を感じさせた。
ストレッチなど一連のウオーミングアップの後、キャッチボールでこれから握り続ける硬球の感触を確かめた。渡島管内七飯町出身の軟式野球で投手を経験してきた左投げの金田涼々(すず)は「硬球は重く感じた。肘や肩への負担が大きくなると思うので、体づくりをしっかりやっていきたい」と話していた。
守備練習では茶木監督らがノッカーを務め、暫定的なシートに就いた部員たちが鋭く向かってくる白球を追い掛けた。
ティー打撃も行い、グラウンドに快音が響いた。茶木監督はトスされて上がった球を注視するよう呼び掛け、「ストライクゾーンを意識して」と指導した。
同部は当面、日替わりで部員が”主将”を務め、チームとしてのまとまりを醸成していく。初日の担当となった札幌市出身で硬式経験者の投手、松葉桃香は「初めての練習で緊張したが、声を出しているうちに気持ちが軽くなった。いいスタートが切れた」と満足そうに語った。「1年目のシーズンでまずはチームの土台を築いていきたい」と抱負を述べた。
同部は、新型コロナウイルスまん延の影響で開催が未確定なものの、1年目から全道、全国大会エントリーに取り組む方針だ。同校教諭で男子の野球部で部長などを務めてきた茶木監督が昨年就任し、今年度から教壇に立った部長兼コーチの佐藤千尋教諭は元女子プロ野球選手。
茶木監督は顔触れの印象を「想像していたより野球ができていた」と語り、基本練習を重ね、1カ月後にも紅白戦を実施したい考えを明かした。「新型ウイルスの影響が広がる中で、スタートを切れただけでもありがたいこと。大きな目標を持って、選手と一緒に頑張っていきたい」と力を込めた。
佐藤部長はかつての自身を思わせる挑戦者たちを笑顔で見渡し、「もっと練習を積めば高みを目指せる」と期待感を語った。