アイスホッケーのアジアリーグ2019~20シーズンは、関係国での新型コロナウイルスの感染拡大が進みつつあったプレーオフでファイナル進出を果たしたサハリン(ロシア)が2年連続2回目、アニャンハルラ(韓国)が2年ぶり6回目で2チーム優勝と異例の結末で2月22日に閉じた。セミファイナルに進んだ日本勢は3位の王子イーグルスのみとなり、他の3チームが下位に低迷。国内勢力の巻き返しが強く求められる。
日韓とロシア・サハリン州共有のトップリーグは、廃部した日本製紙クレインズに変わる新チーム「ひがし北海道クレインズ」が発足したものの、韓国のハイワンが脱退し、昨季より1チーム少ない7チームで行われた。
海外勢はシーズン途中の補強を積極的に敢行。レギュラーリーグ(RL)1位のサハリンは今季MVPのFWクルムチュク、同2位のアニャンハルラはFWシン・サンファンが活躍し、プレーオフでもセミファイナル突破に地力を発揮した。
日本勢はRLで、ひがし北海道が王子に次ぐ5位フィニッシュ。主力級の他チーム移籍は当然あったとしても開幕前のプレシーズンマッチ(苫小牧)では堅守を見せて王子、東北フリーブレイズに連勝するさい先の良さだったが、リーグ開始後はエース的存在になった重野の負傷欠場も加わって得点力不足が露呈。RL中盤に乱れが散見した守備を立て直して終盤は粘り、プレーオフ出場にあと一歩と迫った。来季に向けたチームづくりに注目したい。
最終6位の栃木日光アイスバックスは、リーグ序盤に福藤、井上の両GKが好調で高い勝率を見せ、昨年12月の全日本選手権(東京)でも5年ぶりの栄冠に輝きながら、年明け以降に戦績が急降下。勝負どころで決定打を逃し続けたのが痛かった。
最下位に終わった東北は開幕18連敗と大きく出遅れ、19試合目にようやく初白星。全日本選手権では、準優勝したものの、RL再開後も調子を戻せず4勝のみにとどまった。結果的には田中豪らベテラン頼みとなり、ルーキーのGK古川やDF早田ら若手の真の台頭が待たれる。
来季に向けて横浜グリッツが新規加盟申請していることはリーグにとって明るい話題となるだろう。
2003年の開始以来17シーズンにわたった歴史を紡ぐ戦いを支えてきた加盟の日本各チームは今回、ロ韓勢の後塵(こうじん)を拝した。えり抜きが代表となって挑戦した2022北京五輪の1次予選第3次予選は敗退した日本勢。次々回五輪に向けた代表強化のためのリーグの「道場化」を図る上でも全体としてのレベル底上げが急務だ。