政府は7日、白老町のアイヌ文化施設「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の開業時期について、当初予定していた今月24日から約1カ月延期し、5月29日を目指す方針を決めた。首都圏など一部地域で新型コロナウイルスの感染が急増していることを受け、さらなる感染拡大を防ぐ必要があると判断した。今月18日に予定されていた記念式典も5月23日に再設定した。
赤羽一嘉国土交通相が7日の閣議後会見で発表した。赤羽氏は「(約1カ月後には)反転攻勢ののろしを上げられるよう、最大の準備を尽くしたい」と述べ、開業延期に理解を求めた。
新型コロナをめぐり、安倍晋三首相は7日に緊急事態宣言を発令する。国交省によると、地元の白老町では感染者が確認されておらず、道内全体でも感染状況が落ち着きを取り戻しているが、開業により、他地域から人が往来することで、感染リスクを高めることへの懸念に配慮した。
ウポポイは「大勢で歌うこと」を意味するアイヌ語。昨年5月施行のアイヌ新法に基づき、博物館など、アイヌ文化について情報発信するための施設を国が直轄で整備した。
戸田町長「やむ得ない」
地元白老町の戸田安彦町長は、延期決定を受けてコメントを発表。「24日の開業を楽しみにしていた私をはじめ、町内外の皆さまにとっても延期は大変残念なこと」としながらも、「新型コロナ感染の国内外の現状や町民の不安などを考慮すると、やむを得ない。一日も早く終息し、5月29日には万全の態勢の中で開業できるよう国、道とも連携を密にして準備を進めたい」とした。