白老町の大西林業が今年夏、同町石山の山林にキャンプ場をオープンさせる。2ヘクタールの広大な敷地に車の乗り入れが可能なオートサイトを含め15区画のキャンプサイトを整備し、「ブウベツの森キャンプ場」の名で7月18日に開設する予定。炭焼き体験など森林資源を生かしたプログラムも企画し、同社代表の大西潤二さん(41)は「里山に親しめる場を提供したい」と準備に余念がない。
キャンプ場は、木炭やまき、ほだ木を生産している同社所有の石山110の山林に開設する。大西さんが「気軽に森の自然に触れられる場をつくりたい」と数年前から準備に取り掛かり、林業技術を駆使した整地や木立の伐採、キャンプサイトの区画割りや造成、水洗トイレ2基を備えたログハウス、受け付け小屋の設置といった作業を進めた。
今年2月には、炊事場の建設や看板、太陽光発電式照明などの設置費確保に向けてインターネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)を実施。全国の104人から124万円の協力が得られ、これからオープンを目指した工事を本格化させる。
ミズナラやイタヤカエデなど広葉樹が立ち並ぶ場内には、車が乗り入れられるオートサイト5区画と通常のフリーサイト10区画のほか、ペット同伴も可能な区画も設ける。白老の粘土を使った窯「アースオーブン」も手作りし、キャンプ場の利用者にピザ焼きなどを楽しんでもらうことも考えている。また、炭焼きやまき割り、木材利用のもの作りワークショップなど、市街地に近く、訪れやすい里山の場を生かしたイベントも企画する。
同社は石山に約50ヘクタールの山林を所有し、林業・林産を営んでいる。大型機械で一度に広い面積の森の木々を伐採する大規模皆伐に対し、大西さんは小型機械と人力による間伐主体の林業を実践。森林に負荷を掛けない環境保全型を重視し、2016年に推進団体「北海道自伐型林業推進協議会」を立ち上げて普及や担い手育成に力を入れている。
経営の多角化を図るキャンプ場は、そうした同社の持続可能な林業を伝える研修の場にも利用したい考え。今後、貸しテントを用意し、サイト利用料も決めて開業にこぎ着ける。大西さんは「白老に訪れる観光客にも利用してもらい、森の中で充実したひとときを過ごしてもらえば」と意気込んでいる。