民族復権へ文学で闘った姿を後世に ノンフィクション作家川嶋康男さん 「ラストアイヌ」発刊 アイヌ歌人・森竹竹市の生涯描く

  • ニュース, 白老・胆振東部・日高
  • 2020年3月25日

 白老出身でアイヌ三大歌人に数えられる森竹竹市(1902~76年)の評伝「ラストアイヌ―反骨のアイヌ歌人森竹竹市の肖像」(柏艪舎発行)が25日、発刊された。先住民族の権利と誇りを奪った明治以降の同化政策にあらがい、詩歌を通じ復権を訴え続けた生涯を描いた内容。著者のノンフィクション作家川嶋康男さん(70)=札幌市在住=は「アイヌ民族にとって厳しい時代に生きた竹市の同胞への思いが伝われば」と言う。

 森竹竹市は白老コタンのアイヌ民族の家庭で生まれ育ち、15歳から旧白老郵便局に勤務。俳句や短歌に親しむようになり、国鉄へ転職後、20代から本格的に創作活動を続けた。旧土人保護法下の同化政策で強制的に和人社会に組み入れられ、差別や格差に苦しむ同胞の状況を憂い、怒りを込めて民族復権を訴える詩歌を次々に発表。1937年には代表作「若きアイヌの詩集 原始林」を出し、高く評価された。

 戦後、北海道アイヌ協会や白老町立民俗資料館の設立に関わり、伝統文化の記録保存と伝承に尽力。今では違星北斗(1901~29年)、バチェラー八重子(1884~1962年)と並び、アイヌ民族を代表する歌人とされる。

 川嶋さんは、白老に開設されるアイヌ文化復興拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)を意識し、民族の誇りを取り戻すため文学の手段で闘った竹市の存在をクローズアップさせたいと、生涯を描いた本の出版を計画。遺族や関係者への取材を重ね、まとめ上げた。タイトルの「ラストアイヌ」は、「過酷な時代に生きるアイヌは自分で最後にしてほしいという竹市の思いをくんだもの」と言う。

 /誇り高くアイヌ文化を守れかし 酒の肴(さかな)にされることなく/

 /何時迄(いつまで)も眠らずウタリよ起ち上がり 未来に生きる道を拓(ひら)かう!/

 アイヌ文化を見世物にすることを嫌い、先住民族の復興を願った作品の数々も収録している。

 川嶋さんは24日、発行元・柏艪舎の山本光伸社長と共に白老町役場を訪れ、町内の小中学校と町立図書館に計10冊を寄贈。「ウポポイ開業でアイヌ文化が改めて注目を浴びようとしている中、アイヌ民族のため力を尽くした竹市の意志や功績について次代を担う若い人たちにも知ってほしい」と話した。

 本は四六判256ページで価格1500円(税別)。全国の書店で販売される。

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