4月24日のアイヌ文化復興拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)=白老町若草町2=開業が1カ月後に迫る中、管理、運営を担うアイヌ民族文化財団による準備作業が大詰めを迎えている。新型コロナウイルスの感染拡大の影響が懸念されているが、同財団は「開業日を変更する情報はなく、予定通り準備を進める」と強調。アイヌの伝統文化を伝える体験プログラムの最終チェックなどに追われている。
同財団の職員ら約100人は2月1日付で、旧社台小=同町社台=に設けていた開業準備室からウポポイ内に移り、開業に向けた作業を本格化させている。
職員のうち約50人を運営本部の文化振興部に配属。ウポポイで展示する資料や体験プログラムを準備している。体験交流ホール、工房などの施設を実際に使って最終チェック。アイヌ民族博物館には資料1万点を搬入し、うち約700点を選んで展示するという。
体験プログラムは、ユネスコ無形文化遺産に登録されたアイヌ古式舞踊、ムックリやトンコリなど伝承楽器の演奏、アイヌ刺しゅうや木彫の製作など幅広い。舞踊を実際に披露する体験交流ホールで練習したり、使用する着物を手作りするなど、準備作業は最終段階に入った。
同財団の西條林哉誘客広報課長は「舞踊グループは客が入っていることを想定しながら、動線や進行などを確認している。開業に向け午前中は着物作り、午後は研修を重ねている」と言う。
同財団では札幌事務所に勤務する職員が新型コロナウイルスに感染し、当該職員が白老との間を行き来していたこともあり、9~11日に札幌、白老の両事務所を閉鎖して職員全員を自宅待機にした経緯がある。最終段階で思わぬタイムロスが生じたが、西條課長は「準備スケジュールに影響はない。魅力あるプログラムを構築するため準備を進める」と話した。