総合リゾート運営会社の星野リゾート(本社長野県軽井沢町)は、白老町若草町1のポロト湖畔で高級温泉宿泊施設の建設工事を5月中旬に始める。名称を「星野リゾート 界ポロト」とし、民族共生象徴空間(ウポポイ)の隣接地に整備する施設は、アイヌ文化や北海道の自然を体感できる設計を採用。2021年冬のオープンを目指す。
「星野リゾート 界ポロト」は、同社が全国16カ所で展開する温泉旅館ブランド「界」の一施設で、建物は4階建て、延べ床面積4900平方メートル。ポロト湖沿いの敷地9960平方メートルの中央部にロビー棟や客室42室の宿泊棟、湖岸付近に宿泊客用の露天風呂付き温泉浴場施設を整備する。別棟で日帰り客用の浴場施設も設ける計画だ。
施設について同社は「アイヌ民族の暮らしや自然観、家族観から学び、現代に合った新しい形で再現したデザイン」とし、全客室からポロト湖の四季折々の景色が眺められるように設計。ロビーは白樺林をイメージし、アイヌ民族の昔の暮らしの雰囲気を醸し出すいろりを設ける。
モール温泉が楽しめる湖畔の浴場は、アイヌ民族の建築手法を取り入れて建てる。設計は自然を生かした建築を得意とする東京の人気建築家中村拓志氏が手掛け、「宿泊客がアイヌ文化や異なる民族との共生を体感できるよう、こだわりのおもてなしを提供する」としている。
星野リゾートは18年6月、白老町とパートナーシップ協定を締結。今年4月のアイヌ文化復興拠点・ウポポイ開業を見据え、旧ポロト温泉跡の町有地を取得した。当初は20年度中のオープンを予定していたが、建設資材の高騰や施設配置レイアウトの見直しなどで着工が遅れ、21年度の開業へずれ込んだ。
同社による道内の宿泊施設展開としては、上川管内占冠村の「リゾナーレトマム」、旭川市の「OMO7旭川」に続いて3件目となる。