むかわ町は、アイヌ文化の次世代への継承とともに、町内外におけるアイヌ関連の交流活動を活発化させるため、宮戸地区に生活館を整備する。講演会など100人規模の事業が展開できる多目的ホールを備えるほか、同町末広の「ム・ペツ館」にある民具や資料を移して展示するコーナー、むかわアイヌ文化協会の事務所も移設。年内に完成させ、新たなアイヌ文化の活動拠点として機能させていく。
生活館は、地域住民の生活文化の向上と社会福祉の振興に寄与することを目的に設置されている施設。アイヌ文化伝承や生活教養を高めるための各種講座のみならず、生活相談など地域のさまざまな活動に利用できる。
新たな生活館には多目的ホールのほか研修室、和室をそれぞれ2部屋、調理室なども用意。その一方で、これまでむかわアイヌ協会、鵡川アイヌ文化伝承保存会の活動拠点にしていたム・ペツ館も集会所として残し、地域住民が集う場として活用するという。
一連の整備に関しては、国が創設した「アイヌ政策推進交付金制度」を主に活用する。今年度補正予算で実施設計委託料として約2100万円を計上。2020年度当初予算で文化講演事業や整備費用として3億659万円を充てた。
4月24日には、白老町に民族共生象徴空間「ウポポイ」の開業を控え、むかわでもその機運を高めていく。むかわアイヌ協会事務局で同保存会会員の佐々木義一さん(66)は「白老町だけではなく、胆振管内のアイヌ関係を巻き込み、新しい生活館を拠点にうまく事業を展開していけたら」と期待。町は「ウポポイとの連携を図りながら、アイヌ関係者をはじめ、新たな人の流れをつくっていく」と話している。