アイヌ文化復興拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)の4月24日開業を前に、白老町や道、JR北海道が進めた白老駅周辺整備事業が一部を残して完了し、14日に施設の供用が開始される。駅舎をバリアフリーに改修したほか、線路をまたぐ自由通路、駅前広場を整備し、ウポポイの開業で増える観光客の受け入れ環境を整えた。また、同日から同駅に特急「北斗」が停車するようになり、「すずらん」と合わせて特急列車の停車本数が格段に増加する。
JR北による駅の改修事業では、利用者の利便性を高めるため、ホームとつながるエレベーター付きの乗り替え用跨(こ)線橋を新設。駅舎のバリアフリー化として自動ドア、視角障害者用の点字案内板、見やすいLED(発光ダイオード)列車発車標を設けた。さらに駅舎全体をリニューアルし、クレジットカード専用の列車指定席券売機を設置。特急「北斗」停車に対応するホームの延伸工事も行った。
町が整備した自由通路は駅直結の全天候型の施設で、線路をまたいで南北を行き来できる。通路の延長は60メートル、幅3メートルで、ホームともつながり、内部に臨時改札口を設ける。自由通路の南口と北口にそれぞれ17人乗りエレベーターを設置した。14日正午から開通させ、同時に従来の人道跨線橋を閉鎖。2020年度に撤去する。
さらに町は、駅舎併設の多機能型公衆トイレや観光案内ブースを整備。トイレは13日午後5時から使用可能で、観光パンフレットなどを備えた観光案内ブースは、駅北の観光インフォメーションセンターのオープンに合わせて4月に開設する。
道が整備した駅前広場は面積2700平方メートルで、従来の2倍に拡大。大型バスやタクシー、町内循環バス、自家用車の乗降場、7台分の駐車場も整えた。駅舎前の周辺には上屋を設け、雨にぬれずに駅と乗降場を行き来できるようにした。一部工事を残し14日に暫定供用を開始する。
ウポポイ開設に向けてJR北は、ダイヤ改正の14日から特急「北斗」の上下24本中19本を白老駅に停車させる。同駅に停まる特急列車は従来の「すずらん」12本と合わせて31本に増える。白老駅の副駅名を「ウポポイ 民族共生象徴空間前」とし同日、駅構内に副駅名標を設置。町は「北斗」の初停車を歓迎する横断幕を構内に掲げる。ただ、JR北は、新型コロナ対策で23日から当面1カ月、一部列車を減便することを決めており、この間、停車本数は前後する可能性もある。
この他、ウポポイ関連の環境整備事業では、国や道によるアクセス道路の整備が近く完了する。ウポポイ近くの道道白老大滝線・小沼線通り踏切(ポロト踏切)は、拡幅工事を終えて23日から通行可能になる。国道36号白老町社台―苫小牧市樽前間(4・8キロ)の4車線化道路は26日に開通する。