大雪

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2020年3月7日

  幼い頃の冬、道の両側には、いつも胸や顔の高さまで雪が積もっていた。大人になって、背丈が低かったせいだと分かった。大雪の冬は、楽しかった。

   少雪がこの冬の特徴と報道されて来たが、ここ1週間ほどの雪の降り具合を見ていると、少雪は外れたのかもしれない。4~5日の暴風雪では、太平洋側に大雪との予報に震え上がった。実際にえりも町や十勝地方南部では1メートル近い雪が降ったようだ。「雪や雨は、少なそうにみえても、やがて平年並みに落ち着く」。自然界には、帳尻合わせという裏技がある。

   苫小牧から札幌にかけての国道36号沿いには気象の俗説がある。苫小牧市と千歳市の境界の「美々の坂」で、天気が変わるという。通勤の時「このことか」と何度もうなずいた。降雪量の変化も面白い。千歳を1とすれば恵庭は2、札幌はさらに、その倍とか。千歳と恵庭に住み除雪に汗を流したことがあるが、この説も間違っていなかった気がする。恵庭では積み上げた歩道の雪が背丈を超え、車道を通る車が見えなくなった。

   先週末からの雪で、元来、雪の少ないはずの苫小牧でも道路脇やスーパーの駐車場に大きな雪山が出来上がった。新型コロナウイルス対策で休みになった子どもたちが、親たちとの雪かき作業を喜ぶ声が住宅街に響いた。勉強を。読書を。ゲームは短く。大人たちの要求は積もるばかり。3月の大雪は、気晴らしになったか。(水)

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