王子ファイナル懸けあす激突 アイスホッケーアジアリーグプレーオフ・セミファイナル

  • アイスホッケー, スポーツ
  • 2020年2月24日
第2戦〔王子―ハルラ〕試合の半ば、王子ベテランFW百目木が果敢にハルラゴールへ詰め寄る=23日、韓国アニャンアイスアリーナ
第2戦〔王子―ハルラ〕試合の半ば、王子ベテランFW百目木が果敢にハルラゴールへ詰め寄る=23日、韓国アニャンアイスアリーナ
第2戦で3点目のゴールを奪ったFWレデンバック=23日
第2戦で3点目のゴールを奪ったFWレデンバック=23日
新型コロナウイルス対策で観客の多くはマスクを着けている=23日、アニャンアイスアリーナ
新型コロナウイルス対策で観客の多くはマスクを着けている=23日、アニャンアイスアリーナ

 アイスホッケー・アジアリーグのプレーオフセミファイナル(3試合2勝先勝方式)は22、23の両日、韓国・安養とロシア・ユジノサハリンスクで行われた。レギュラーリーグ(RL)3位の王子イーグルスはアウェーの韓国に乗り込み、同2位のアニャンハルラと激突。第1戦は1―3で落としたものの、第2戦は5―4で勝ち、対戦成績を1勝1敗のタイに戻した。同1位のサハリンは同4位デミョンキラーホエールズ(韓国)に2連勝してファイナル進出を決めた。【韓国・安養、工藤航】

 王子の第3戦は、韓国の同会場で25日午後7時開始。新型コロナウイルス感染予防のため、現地当局の指示で無観客試合となることが決まっている。

 23日

 【第2戦】

 ▽韓国安養(1勝1敗)

 王子イーグルス5-4アニャンハルラ

 ▽得点者【王】大澤(橋本、高橋)高木(大澤、小原)レデンバック(芳賀、百目木)大澤(高木、久慈)レデンバック(高木、山田)【ハ】シン・サンフン(キム・サンウク、ギム・ギソン)チョ・ミンホ(リーガン、イ・ヨンジュン)ソン・ヒョンチョル(リーガン、キム・サンウク)シン・サンフン(キム・サンウク、ギム・ギソン)▽GK【王】マッキンタイア【ハ】ダルトン▽シュート数【王】28本【ハ】34本▽反則【王】10分【ハ】10分▽パワープレー得点【王】1【ハ】1▽キルプレー得点【王】1【ハ】0▽観客439人

 序盤に1点を先制された王子は、直後にFW大澤が押し込み同点に追い付く。その直後、FW●【99cb】木の右サイドからのミドルシュートが決まり逆転に成功すると、FWレデンバックも続き、第1ピリオドに3点を先行。その後は王子がリードを保ったものの、両チーム追加で点の取り合いが続いた。試合終盤はハルラの6人攻撃を辛くも振り切った。

 ▽ロシア・ユジノサハリンスク(サハリン2勝)

 サハリン9-2デミョンキラーホエールズ

 22日

 【第1戦】

 ▽韓国安養(王子1敗)

 アニャンハルラ3-1王子イーグルス

 ▽得点者【ハ】イ・ヨンジュン(ガン・ユンソク、プラント)アン・ジンフィ(マイラム、キム・サンウク)チョ・ミンホ(シン・サンフン、マイラム)【王】中屋敷(山田、相木)▽GK【ハ】ダルトン【王】成澤▽シュート数【ハ】36本【王】36本▽反則【ハ】6分【王】8分▽パワープレー得点【ハ】1【王】0▽キルプレー得点【ハ】0【王】0▽観客476人

 王子は第1ピリオドにハルラの攻めを食い止められず2点を失い、試合の主導権を握られた。第2ピリオドから本来の動きを取り戻し、攻め込む場面も目立ったが、ハルラGKダルトンを軸とした堅守に阻まれ得点できなかった。終盤にFW中屋敷のゴールで反撃したものの、ハルラに直後の1点を奪われて初戦を落とした。

 ▽ロシア・ユジノサハリンスク(サハリン1勝)

 サハリン5-2デミョンキラーホエールズ

 意地と底力発揮―王子

 悲願のアジアリーグチャンピオン奪回に向けて燃える王子。初戦を落としたものの、第2戦では意地と底力を発揮し、何とか白星をつかんだ。菅原宣宏監督は23日の試合を終えて「初戦は浮き足立っていたところもあったが、きょうは気持ちが入った試合になった」と語った。

 初戦の序盤は流れをつかめなかった。運動量とスピードを誇るハルラ攻撃陣に翻弄(ほんろう)されて早々に2失点を喫した。試合中盤以降はスタメン出場したGK成澤優太が放たれる力強いシュートの多くを食い止めたものの攻めにつなげず、流れをつかめなかった。「1対1でのシュートも止められなかった。シュートを止めてもリバウンドになること多かった」と成澤は反省を口にした。

 「走り負けが多かった」と初戦の内容を踏まえた菅原監督は第2戦を前にメンバーに改善を呼び掛けた。ハルラに先制される展開は同じだったが、その直後、大澤勇斗が同点弾。さらに●【99cb】木健太のミドルシュートが決まって勝ち越しに成功とFW陣が畳み掛けた。

 約4分後にはタイラー・レデンバックも得点を挙げ、この2試合では初めての2点リードを奪った。

 ハルラも食い下がった。初戦同様の運動量と一瞬の隙を突いてくる反撃で徐々に詰め寄られたが、王子もさらに追加していき、最後は6人攻撃に遭っても一丸ではねのけた。

 日本勢唯一のプレーオフ進出チームとなった王子。何とか苫小牧のファンの前で勇姿を見せるべく、泥臭く戦っている状況だ。

 勝敗タイに戻した立役者の一人、大澤はパワー・キルプレーの攻守精度がポイントと言い切り、「第3戦はなんとしても勝利を勝ち取る」と語気を強めた。

 流れ引き寄せる2ゴール FWレデンバック勝利に貢献

 負けたら終わりの大事な一戦で王子イーグルスのFWタイラー・レデンバックが第2戦の流れを決定づける2ゴールを挙げ、大きな仕事をやってのけた。「いい形で得点でき、勝利に貢献できたことが良かった」と声を弾ませた。

 このプレーオフから、助っ人にさらなる責任感と奮起を期待しようと副主将証しの「A」マークを与えられ、胸に着けたレデンバック。第2戦は果敢な動きを見せた。

 1点目は第1ピリオド、FW高木健太が勝ち越し点を挙げた直後、中盤から切り込んで倒れ込みながらも力強いシュートで3点目をたたき込んだ。第3ピリオドにもゴール前で絶妙なパスを受け、ゴールネットに突き刺した。「きょうは相手のプレッシャーもあり、チャンスが少なかったが、チーム一丸となって戦えた」と振り返る。

 王子には今季加入。レギュラーリーグでは攻撃の要として存在感を見せてきた。

 しかし、今年1月の韓国遠征時、重い反則の「ゲームミスコンダクトペナルティ」を課せられ、2試合出場停止になるなど悔しい思いもしていた。

 第3戦ですべての思いをぶつける。レデンバックは「自分のやるべきことをやって臨むだけ」と言い切った。

 新型肺炎感染拡大に対応 第3戦は無観客試合に

 新型コロナウイルス感染が韓国国内でも広がっている。400人以上の感染が確認され、死者も出ている。アイスホッケー・アジアリーグプレーオフセミファイナル会場のアニャンアイスアリーナでもさまざまな予防措置がとられていた。25日の第3戦は当局の指示により無観客での試合が決まった。

 入場口では観客のみならず、チーム関係者や競技役員、記者なども「サーモグラフィーカメラ」で体温を測定され、場内では消毒液が至る所に設置されている。

 ホームのハルラのファンはマスクを着けている人たちが多い。王子を応援しようと日本から駆け付けたファンや選手の家族も十数人確認でき、同様だ。そのうちの一人は「自分たちのできる予防はしっかりやるようにはしている」と語った。

 チームの城野正樹副部長は「選手やスタッフはリンク外ではマスクをしたり、うがいや手洗いなどを徹底したりして、感染予防に努めている」と話した。

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