アイスホッケー王子イーグルスのFW百目木(どめき)政人(36)が15日、釧路で行われた、ひがし北海道クレインズ戦でリーグ史上初となる通算600試合出場を達成した。王子一筋18年目のベテランが金字塔を打ち立てた。百目木は「一つ一つの試合に集中してやってきたので、その積み重ねがこういう記録に結び付いた。これからもチームに貢献したい」と意気込みを語った。
苫小牧出身の百目木は駒大苫小牧高校から2002―03シーズンに王子製紙入団。体の強さを生かしたプレーで攻撃の核として活躍してきた。
11―12シーズンから3シーズンは主将を務め、1年目にはアジアリーグ優勝を達成し、「これまでで一番の思い出」と言う18年の全日本選手権MVPにも輝いた。その後も選手としての円熟味を増しつつ貢献し続け、今季レギュラーリーグは34試合に出場し、3ゴール6アシスト9ポイントをマークした。
大記録達成については「試合の前の週に監督に言われて気が付いたくらいで自分としてはあまり意識していなかった」と百目木。ベテランの域に入っても若手時代同様に練習で積み重ねたものを生かし、全力でプレーすることを心掛けて試合に挑んでいる。大きなけがの少ない体の強さも重要な武器となり、菅原宣宏監督(44)も「仕事に対する準備も素晴らしいし、王子の首脳陣も大きく変わる中でもレギュラーで出続けている。尊敬の念に値する」とたたえる。
戦列第一線に就くメンバーの精神的支柱。主将を務めていた時代同様にチーム内での信頼はいまだに揺るがない。現在主将を務めるDF山下敬史(32)は「本当にすごいの一言。若手の選手以上にトレーニングに打ち込んでいるし、いろんな相談に乗ってくれる」と敬意を表し、同じポジションのFW三田村康平(27)も「言葉だけではなく、背中で引っ張ってくれる先輩。自分もそんな選手になれるように頑張りたい」と話した。
22日からプレーオフセミファイナル(1回戦)でレギュラーリーグ3位として2位だったアニャンハルラ(韓国)と戦う。
今季は新加入した若手や中堅の活躍が目立ったが、ベテランの奮闘も欠かせない。栄冠達成時の経験を基に百目木は語る。「それぞれが目的をしっかり持ち、とにかく気持ちを前面に出して戦う」
釧路で16日には601試合目に出場し、その先にくる大一番が近づいている。「家族やファンの支えもあってここまでアイスホッケーをやってこられた。本当に感謝したい。最後の最後まで精いっぱいプレーするので応援よろしくお願いします」。上位打倒への一心でぶつかっていく。