白老町末広町の中崎幸枝さん(72)が日本水泳連盟の基礎水泳指導員資格を取得し、町民温水プールで指導に励んでいる。60歳を過ぎて全く泳げなかったレベルから水泳を始め、連盟公認の指導員にまでなったチャレンジ精神は、周囲の水泳仲間にとっても大きな励みになっている。
スポーツと無縁の生活を送っていた中崎さんは62歳の時、健康のためにプールへ通い始めた。最初は水中歩行だけだったが、「高齢の人も泳いでいる姿を見て、自分も挑戦してみようと水泳を始めた」と言う。初めは水に浮くこともできなかったが、指導者に励まされて次第に上達。「半年かかって25メートルが泳げるようになった時は本当にうれしかった」と振り返る。
水泳が面白くなって「もっと上達しよう」と向上心が芽生え、68歳で北海道水泳連盟の水泳準指導員資格を取得。水泳サークルで指導に当たるまでになった。さらに上へと、一昨年には日本水泳連盟の基礎水泳指導員資格を受験。学科はクリアしたが、バタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、クロールの4泳法で100メートルを泳ぐ実技「個人メドレー」だけ落とし、昨年11月に再挑戦した。
青森市内のプールで行われた実技に最高齢受験者として臨み、個人メドレーの年齢基準タイム2分25秒をクリア、見事合格を果たした。70歳を過ぎて日本水泳連盟の指導員資格を得るケースは珍しく、実技試験の運営に当たった連盟関係者も「これはギネスものですね」と驚いたという。近く連盟から正式な資格証が届く予定だ。
中崎さんは「自分はどこまでできるのかと、挑戦し続けたことが資格取得の実を結んだ。高齢になっても目標を持って生きることを大事にしたい」と言う。今も毎週4回、欠かさず町民温水プールに通い、さらなる高みを目指して励んでいる。