白老町で4月に開業するアイヌ文化復興拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)を2020年度の修学旅行先として予定する学校が全国に広がっている。ウポポイを管理運営する公益財団法人アイヌ民族文化財団(札幌)には道内外の小中学校や高校から予約の申し込みが相次ぎ、22日までに270校に上った。日本の先住民族の歴史や文化が学べるウポポイの教育的効果に学校が関心を寄せている。
同財団によると、昨年12月16日に予約の受け付けを開始したところ、全国各地から申し込みの連絡が相次いだ。開始から1週間をピークに予約が続き、今月22日までの1カ月間余りで270校、児童生徒数では計3万3831人を数えたという。
道内外の学校の内訳は、小学校が115校(9214人)で、札幌など石狩管内の学校が中心。中学校は65校(7975人)、高校は90校(1万6642人)。高校は関東や中部、関西、中国・四国、九州と全国から申し込みが寄せられ、北海道への修学旅行の行程にウポポイ見学を組む動きが広がっている。
神奈川県藤沢市のキリスト教系私立校、湘南白百合学園中学・高校も10月下旬に中学3年生の修学旅行でウポポイ見学のスケジュールを組んだ。担当の荒木大介教諭は「ウポポイがアピールする民族共生は社会の重要テーマ。それを生徒が学ぶ機会としたい」と話し、旅行を前にアイヌ民族の歴史や文化の事前学習を展開するという。
各学校のウポポイ見学は、6月下旬から7月にかけた時期と9月が多い。今後も予約は続くとみられ、同財団は伝統芸能の上演をはじめ、ムックリ(口琴)やアイヌ文様刺しゅうの制作、アイヌ民族の食文化といった学校向け体験プログラムを提供し、児童生徒に民族文化を伝えることにしている。