国連教育科学文化機関(ユネスコ)は21日、ユネスコ世界ジオパークの再認定審査結果を公開し、昨年7月に再認定審査を受けたアポイ岳ユネスコ世界ジオパーク(様似町)を全会一致で再認定(4年間)した。今後のジオパーク運営にあたり、5項目の指摘事項を付している。
再認定審査は4年に1度で、2015年に国内8カ所目の世界ジオパークに認定されたアポイ岳ジオパークは初めての審査だった。昨年7月、英国と中国の地質学を専門とする2人の審査員が3日間にわたり詳細に視察し、関係者からも話を聞いた。
審査後、離町前の講評や記者会見で2人は「様似は小さな町だが、いろいろなものを持っている豊かな町」、「4年前の世界認定時に挙げた12の課題はすべてクリアしている」などと話していた。
再認定に当たり示した5項目の指摘事項は(1)GGN(世界ジオパークネットワーク)とAPGN(アジア太平洋ジオパークネットワーク)のネットワーキング活動を、各施設、特に様似郷土館ほかウェブサイトや各種看板・案内板で強化、推進すること(2)ジオロジカルサイト(地形・地質サイト)のデータベースを定期的にアップデートし、保全方針を検討すること(3)他のユネスコ世界ジオパークとのパートナーシップを通じて、地域の国際的価値を宣伝し、GGNとAPGNの活動への関与を強化すること―など。
今回の再認定に坂下一幸町長は「町民が誇りを持って歩めるよう、さらにジオパークの教育に力を入れたい」と話している。
アポイ岳は世界認定の一方、18年の国内審査では「指摘に対応していない項目がある」として「条件付き再認定」で、認定期間が2年間に短縮された。国内再認定審査は今年行われる。
「ユネスコ世界ジオパーク」は、地層や岩石、地形、火山、断層など地質学的な遺産を保護し研究に活用するとともに、自然と人間との関わりを理解する場所として整備し、科学教育や防災教育の場とするほか、新たな観光資源として地域の振興に生かすことを目的とした事業。ユネスコの国際地質科学ジオパーク計画が実施している。今回の再認定では、洞爺湖有珠山ユネスコ世界ジオパーク(洞爺湖町など)と室戸ユネスコ世界ジオパーク(高知県室戸市)も再認定された。