建設業界は昨年、土木分野の政府予算が前年度より増えたことで活発だった。胆振・日高地区は震災復旧・復興関連で公共工事部門は順調だったが、建築部門は前年並みの実績となった。業界では働き方改革が大きな動きとして進んでいる。日本建設業連合会は2019年の目標として4週6休、さらに21年までに4週8休を業界内で達成しようと呼び掛け、各社で取り組んでいる。
当社は昨年、4週6休を目標に進め、土木部門は70%以上をクリアしたが、建築部門は民間受注を中心に職種が広く4週5休の割合が多かった。改善は今年も進めていく考え。利益は土木部門がほぼ目標通りとなったが、建築部門はもう少し努力が必要だ。
働き方改革は生産性向上が大きな鍵になる。その実現に向けて社内にICT(情報通信技術)の専門部署を立ち上げた。一例だが、マンション購入客に建物が3次元で見えるパソコンソフトを使って画面上でイメージの立体映像を見せており、好評。業務改善にもつながっている。こうした取り組みを今後も進める。
建設業は1990年代をピークに協力会社が減り、作業員の高齢化も進んでいる。休日の増加に加え、災害復旧といった大型工事が集中するなどさまざまな要素で労働者が不足している。仕事がない時期に社員採用を控えてきたこともあり、元請けも技術者が不足している状態だ。
短期的に見ると作業員が増える要素はなく、今後は業務の平準化が重要になる。道内では季節的な要因で繁忙期と閑散期があるが、平準化することで工事量の変動があっても作業員の通年確保が可能だ。建設業界を目指す学生も減っており、若い世代に魅力を訴えることも大切だろう。
外国人労働者を受け入れる会社も増えている。当社の協力会社では3~4社が導入しており、当社の安全管理担当部署を通じて法令順守の呼び掛けを進めている。各社とも一時的な対応ではなく長期的な視点で準備を進めており、安心して現場で活躍してもらうことができる。
公共工事関連の予算は20年度も比較的堅調と見ている。道内では北海道新幹線関連など大型工事が継続する見通し。札幌や新幹線の駅ができる地域の仕事はあるが、他地域への波及要素は少なく、公共施設の建て替えが中心となるだろう。
当社としては2~3年後を見据えた受注が必要。単年度工事と大型工事をバランス良く受注するとともに、新技術のノウハウを生かした生産性向上を進め、4週6休以上の休日取得を目指したい。
1959年5月設立。北海道を中心に東北、関東、東海地方で事業を展開する総合建設業。従業員数270人。本社は札幌市、苫小牧市木場町に苫小牧本店がある。