2019年の信用金庫業界の動向を見ると、緩やかな景気回復を背景に預金と貸出は増加した。ただ、日銀のマイナス金利政策の影響で資金運用利回りが低下し、収入も利益も減少する厳しい状況が続いている。また、地方銀行や第二地方銀行が信用金庫の取引先に低利で攻勢をかけていることも、信用金庫の業績を圧迫している。
19年11月末の預金積金は4462億円(前年比4・5%増)で、19年度業務運営計画の目標である4400億円を上回った。貸出は2198億円(同2・1%増)で、目標の2200億円をわずかに下回った。預金の伸びが高めなのは、震災関連預金の増加が主因とみられる。
一方、貸出は法人向けが増加したものの、住宅ローンなど個人向けが減少した。収益面では、18年度決算、19年度上期仮決算で減収減益となったが、経費が計画より大きく低下したため、収益性の指標は計画値を上回った。19年9月末時点の自己資本額は515億円まで積み上がり、自己資本比率23・47%と国内基準(4%)を大きく上回っている。
業務運営計画の目標値はおおむね達成し、引き続き健全な財務内容を維持しているものの「減収減益」が続いている。本業収益力の底上げ、将来を見据えた取引基盤の拡充、高度化・複雑化する業務を支える人材の確保、育成が課題となっている。
20年の日本、道内経済は海外で景気の持ち直し、国内で消費税率引き上げの影響が今のところ顕著ではないことなどから、引き続き緩やかな回復軌道をたどる可能性が高い。もっとも成長率自体は低位にとどまり、マクロ的にみると企業部門は資金余剰のため、金融機関の貸出が大きく伸びることは考えにくい。
信用金庫業界は、厳しい経営環境が続くことが予想される。営業店ネットワークの見直しとして、3月で日高代理店を閉鎖する。断腸の思いだが、富川支店や門別支店に人を配置し、定期的に訪問したい。
20年度の業務運営計画は信用金庫の原点に立ち、改めて顧客本位、地域密着の徹底を図る。施策として、コンサルティング機能を強化、ライフサイクルに対応した金融サービスの提供、地域貢献活動の継続、教育・研修制度の充実を図る。
また、昨年10月に国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する宣言を行った。今までも結婚相談所や経済文化講演会の開催などを行ってきたが、今年はその趣旨を踏まえ、各地域で貢献活動を積極的に展開したい。
1948年9月設立。役職員数は235人、28店舗(本店1、支店26、出張所1)を持つ。とましん結婚相談所「LLB会」など地域活動も活発。本店住所は苫小牧市表町3の1の6。