(2)「チーム」で事業展開 苫小牧港開発 関根久修社長

  • 挑む経済人 2020企業トップに聞く, 特集
  • 2020年1月8日

  昨年の日本経済は緩やかな回復基調で推移し、北海道でも胆振東部地震の災害復旧関連など公共事業が下支えし、同様の傾向にあった。こうした背景を受け、当社主要のフェリーターミナル運営事業と不動産事業はおおむね良好だ。

   フェリーターミナル部門は、各船社が新造した旅客フェリーを投入したほか、ゴールデンウイークが10連休と長く、好天で欠航が少なかったことなどから旅客増につながった。不動産部門は物流会社を中心に産業用地の分譲・賃貸ともに引き合いが強い。苫小牧が物流拠点として重要視されている表れであり、各企業が事業所の集約化と増強を進めていると感じる。若い世代を中心に住宅用地の分譲も好調だ。このまま推移すれば、今年度の決算は2年連続の増収増益を見込んでいる。

   日本経済は今年も堅調とみられる一方、消費税増税対策の終了や東京五輪・パラリンピック関連の特需が一段落する見込みだ。また、米中の貿易摩擦、中国の経済減速といった不安要素もあり、経済成長率は少し下がるとの見方が強い。

   当社としては、北海道と本州の大動脈としてフェリー運航が安定的に効率良く行われるよう貢献したい。不動産事業は産業用地の分譲・賃貸に引き続き力を入れるほか、ウトナイ地区で住宅用地の新たな造成も検討している。

   北海道で行われる大きなイベントも注視し、当社事業に反映させたい。新千歳空港を含む道内7空港の民営化が本格化する中、苫小牧港とのダブルポートをPRする苫小牧の企業として観光企画を検討する。4月にオープンする白老町のウポポイ(民族共生象徴空間)で掲げている年間入場者数100万人の目標を達成できるよう、年間70万人のフェリーターミナル利用者に情報を発信する。東京五輪はサッカーに加え、マラソンと競歩も札幌開催になった。フェリーは「移動するホテル」という位置付けもあることから、各船社と連携して来道者に対する万全の対応を図る。

   当社は苫小牧港の発展があってここまできた。地域と共に歩んでおり「地域の公器」として社会貢献も果たしたい。そのためには一定の収益を確保できるよう、筋肉質の企業体質を作っていかなければならない。不動産事業における賃貸収入の確保や効率的な事業運営を推進する。「企業は人なり」だけに、国内外の視察研修や資格取得支援など人材教育にも力を入れる。

   今年度から2021年度まで3カ年の中期経営計画を策定した。100人余りの社員と手を組んで「チーム港開発」として事業展開する考えだ。

   1958年創業。資本金12億5000万円。従業員数107人。フェリーターミナル運営、用地造成分譲など。所在地は苫小牧市入船町2の9の15。

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