(1) 新たな技術開発に挑戦  トヨタ自動車北海道北條康夫社長

  • 挑む経済人 2020企業トップに聞く, 特集
  • 2020年1月7日

  2018年9月の胆振東部地震から短い期間で復旧し、昨年も無事に事業を進められたのは地域のおかげ。業界を取り巻く環境は米中の貿易摩擦、日米の貿易協議、英国のEU離脱問題など先行きが懸念されるが、他社と比べて落ち込みが少なかった。

   昨年4~9月の中間期販売台数はAT(自動変速機)が約13万台、CVT(無段変速機)が約39万台、ダイレクトシフトCVTが約13万台、トランスアクスルが約70万台、トランスファーが約27万台とほぼ前期並みを確保。既存CVTの生産が減っているが、ダイレクトCVTが伸びており、今期の年間売上高は(過去最高だった)前期とほぼ同等かそれ以上の見通しだ。

   昨年は二つの大きなプロジェクトがほぼ同時進行する大変忙しい年で、大きな投資や費用が発生した。社内の各部署やトヨタ自動車、仕入れ先、協力会社と垣根を越えたワンチームで取り組み、スムーズに進められた。

   10月に増設したダイレクトシフトCVTの第2ラインはフル稼働。12月にはハイブリッドトランスアクスルのラインも立ち上がった。関わったメンバーは大きく成長し、自信を得た1年だったと感じている。従業員数も前年同期比で200人以上増え、12月1日時点で3389人になっている。

   課題は自動車の電動化が進んでいること。当社の電動ユニットはこれまで生産台数のうち5%ほど。ハイブリッドのアクアやジャパンタクシー用を造っているが、二つのラインが立ち上がったことで工場内は満タン。従来からのATは少なくなり、上手にシャットダウンしながら、新しいユニットに取り組まなければいけない。車両の切り替えなどうまく(トヨタ本社などと)コミュニケーションを取り、調達できるようにしたい。

   とはいえ当社は駆動ユニットの製造会社。ものづくりをしっかり極めていきたい。量産ユニットの品質を高いレベルで維持向上するため、日々の安全、従業員の健康増進、原価低減など基盤をしっかり固める。企業は人の集合体。従業員一人一人が現状の殻を打ち破り、自らチャレンジできるか、変われるかだ。2025年ビジョンを実現するため、活気にあふれ、思いやりのある職場をつくる。

   今年は新たな技術開発にチャレンジする、次期に向けた芽を育てていく年にし、チームトヨタ、そして北海道になくてはならない会社にする。22年には創業30周年を迎える。地域の皆さんに喜んでもらえるよう各部署からアイデアを出してもらい、全社的に検討を進めていきたい。

        ◇

   2020年を迎えた。苫小牧市内の製造、港湾、金融など各分野のトップに今年の課題や抱負を聞いた。10回連載。

   自動車部品を製造する道内ものづくり企業の最大手。従業員数3400人規模は苫小牧市内最多。トヨタ自動車が100%出資している。苫小牧市勇払145の1。

過去30日間の紙面が閲覧可能です。