外来植物の侵入などで白老町東部のヨコスト湿原の自然環境悪化が懸念されている中、町は今後、専門家も含めた幅広い連携で保全対策を強化する方針だ。13日開かれた町議会定例会の森哲也氏(共産)の一般質問に、町は「連携の裾野を広げて貴重な環境を守る取り組みを進めたい」との考えを示した。
同町日の出町と社台にまたがる低層湿地・ヨコスト湿原(面積33ヘクタール)は、道内でも数少なくなった自然海岸とその背後に沼地や湿地、草原、林など多様な環境を形成。動植物も多彩で、これまでに植物463種、野鳥64種、昆虫209種が確認され、環境省などが絶滅危惧種に指定する生き物も少なくない。「北海道自然環境保全指針」の中で保全対象に位置づけられ、2016年には環境省の「日本の重要湿地」に選定された。
しかし、周辺地域の土地利用などで湿原の乾燥化が進んでいるほか、在来植物を駆逐するオオアワダチソウなど外来植物が分布を拡大。さらにごみの不法投棄や、湿原の中で車を走らせて植物を踏み荒らす行為も目立ち、貴重な自然環境が脅かされている。
定例会の一般質問で森氏は「ヨコストは日本の重要湿地であり、アイヌ民族との関係性から民族共生象徴空間(ウポポイ)の周辺関連地域としても位置づけられている。現状を十分に調査して白老町の優れた環境を守り、その魅力を発信していくべきだ」と町の姿勢をただした。
森氏の指摘を受け、町の担当者は「市街地周辺に残された貴重な自然であり、保全を図る必要があると考えている」とし、「ヨコスト湿原友の会、町環境町民会議のほか、さまざまな関係機関や専門家との連携を築き、保全の取り組みを強化していきたい」と述べた。