アイスホッケー・アジアリーグのレギュラーリーグはおおむね半分程度の試合日程を終え、ユーロチャレンジ欧州遠征(ポーランド)のブレイク期間に入った。王子イーグルスはここまで18試合を消化し、11勝7敗(勝ち点32)で3位。リーグ1位に向けて好位置に付けた。前半戦の戦いで見えた課題や今後の展望を2回に分けて連載する。
■新体制で着実に成長
王子は今季、菅原宣宏監督をはじめスタッフ、選手7人の新戦力を迎え、新体制で船出した。昨季は出だしで遅れを取っただけにスタートダッシュを図るべく開幕前の準備と調整に注力。アウェーとなった開幕の東北戦では連勝発進した。しかし9月、ホームでのひがし北海道クレインズ戦ではいずれも接戦を落として連敗。現在首位のハルラには2勝1敗と勝ち越すも、波に乗れずにいた。
ターニングポイントになったのは10月15日のホームでのサハリン3戦目。それまでは先制しても第2ピリオド以降に勝ち越しを許す場面があったことを課題と捉え、中盤以降の入り方、特に守りの部分での意識を変えた。そこからチームの中でリズムが生まれた。数的不利になるキルプレーなどのピンチの場面で浮き足立っていたチームに落ち着きが生まれ、前半締めくくりの東北戦(今月2、3日)まで6連勝を収めた。
「着実に成長しているが、接戦で勝ち切れないところなどまだまだ修正できる課題は多い」(菅原監督)。指揮官や選手たちもかぶとの緒を締め直し、リーグ制覇に挑む。
■活躍する新戦力
連勝を続ける要因となっているのは今季加わった新戦力の活躍。新外国人のFWタイラー・レデンバック、4季ぶりに古巣に戻ったFW大澤勇斗、守護神GKドリュー・マッキンタイア、FW中島彰吾、髙木健太の旧日本製紙クレインズから来た選手たちだ。
マッキンタイアは昨季のクレインズに在籍時同様、好セーブを連発。セーブ率92・74%と高い数字が示すように、守りの要に君臨する。レデンバックも数字でこそ上位にはいないものの、開幕戦で見せた延長での決勝ゴールなど助っ人として存在感を見せた。昨季のポイント王の中島は6ゴール18アシストと、現時点でも24ポイントでリーグ1位。髙木もチーム2位タイの16ポイントを記録し、豊富な運動量でチャンスを演じたり得点を重ねるなどしている。
古巣に復帰した大澤は、海外で身に付けた「ハングリー精神」をもとに厚みの増した攻撃陣の一角を担っている。2、3両日の東北戦では計4ゴールを決めるなど活躍を見せた。「まだまだ自分もレベルアップし、チームに貢献したい」。大澤は後半戦に向けて力強く語る。
王子イーグルス前半戦戦績
試合日 対戦相手 場所 結果
8月31日 東北 八戸 ○3―2
9月 1日 東北 八戸 ○6―0
14日 ひがし北海道 苫小牧 ●1―2
15日 ひがし北海道 苫小牧 ●2―3
21日 ハルラ(韓国) 苫小牧 ○4―1
22日 ハルラ(韓国) 苫小牧 ●2―4
24日 ハルラ(韓国) 苫小牧 ○2―1
10月4日 栃木日光 日光 ●3―6
5日 栃木日光 日光 ○3―1
6日 栃木日光 日光 ●2―4
12日 サハリン(ロシア)札幌 ●3―5
13日 サハリン(ロシア)札幌 ●1―3
15日 サハリン(ロシア)苫小牧 ○6―2
19日 デミョン(韓国) 苫小牧 ○5―0
20日 デミョン(韓国) 苫小牧 ○2―1
22日 デミョン(韓国) 苫小牧 ○6―3
11月2日 東北 苫小牧 ○5―1
3日 東北 苫小牧 ○6―3
18試合11勝(60分10勝、延長1勝)7敗(60分7敗)=勝点32