政治とカネが問われ、政権交代や経済政策が軸になった第50回衆院選は、事前の世論調査を反映するように与党の自民・公明が大敗し、一部を除いて立憲、国民ら野党が躍進した。結果は、与野党の伯仲を通り過ぎて政権維持が難しくなる少数与党となり、船出したばかりの石破政権にとっては、野党勢力が結束すれば内閣不信任案さえ可決されかねない。
1強多弱の状態が長かった。政治とカネ以外にも与党はさまざまな不祥事が頻発していた。その際、説明責任をきっちり果たした議員はどれほど、否、いただろうか。有権者の感覚とのずれは大きい。おごりの末の現実と、納得できる。
与野党はこの選挙結果から民意の何を読み取るだろう。怒り、不信、懲罰、期待、諦め。有権者の思いは多様だが、1強に終止符が打たれた節目にはなった。
今、与党は「連立の枠組み」や「石破下ろし」の動きや声があり、野党は政権交代に向けた勢力結集で他党に秋波を送ったり、党勢拡大できずに混乱が表面化した党もあったりと流動中。来年の通常国会まで与野党とも右往左往しそうだ。しばし党利党略や保身の駆け引きが続くかもしれない。国の内外は難題だらけ。各党が熟議に前を向くのか、公約の成果を出すのか、行方を注視したい。(司)