函館税関苫小牧税関支署がまとめた2024年の苫小牧港の貿易概況によると、輸出入総額は前年比2・4%減の1兆3509億4500万円となった。前年実績を2年連続で下回ったが、3年連続で1兆円の大台に乗った。輸出は統計に残る1976年以降の最高額で、自動車の部分品が好調だった。
輸出は29・4%増の2673億500万円で、2年ぶりに前年実績を上回り、従来の最高だった22年(2476億円)を超えた。道内ものづくり最大手トヨタ自動車北海道(苫小牧市勇払)に代表される「自動車の部分品」が35・6%増の886億2300万円で、米国向けの増加が全体を押し上げた。
一方、主力の魚介類・同調製品は8・8%減の380億7100万円にとどまった。東京電力福島第1原子力発電所の処理水海洋放出に伴い、中国が23年8月から日本産水産物の輸入を停止しており、24年は中国向けがゼロになったことが響いた。
輸入は7・9%減の1兆836億3900万円。2年連続で前年実績を下回ったが、3年連続で1兆円の大台に乗り、22年、23年に次いで統計史上3位となった。
このうち原油・粗油は20・3%減の4239億3300万円。本道唯一の製油所である出光興産北海道製油所(市真砂町)が今夏、4年に1度全装置の運転を止める大規模定期補修工事シャットダウンメンテナンス(SDM)を行った影響が表れた。
一方、SDMを実施しながら石油需要に対応するため、中国や韓国から灯油を輸入し、石油製品は約2倍の1025億2700万円に達した。このほか、石炭は24・3%減の955億8600万円、トウモロコシは5・3%減の294億2900万円だった。
輸出から輸入を差し引いた貿易収支は8163億3400万円の赤字となったが、過去最大の貿易赤字となった23年からは1500億円余り圧縮した。