苫小牧市の町内会の加入率が年々減少している。2024年度(6月1日時点)の加入率は前年同期比1・5ポイント減の52・6%。この20年間で23・4ポイント落ち込んでおり、役員の高齢化や担い手不足も深刻化している。
市市民生活課によると、24年度の町内会加入世帯数は全82町内会で4万7890世帯。05年度から1万58世帯減少した。市全体の世帯数は9万1065世帯を数え、05年度よりも1万4813世帯増えているものの町内会加入世帯数は減少の一途だ。
若年層を中心としたライフスタイルの変化や近所付き合いの希薄化などが背景にあるとみられるが地域の絆づくりはもちろん、防災、防犯面での助け合いにも欠かせない組織だけに多くの町内会が頭を悩ませている。
王子町や表町をエリアとする一区町内会の加入率は約40%。町内会費を集める班長の確保も難航しているという。4~5月には未加入世帯にも町内会報を配るなどし、町内会の存在感をアピールしているが、吉田利昭会長(80)は「マンション・アパート世帯が増えて人の出入りが多く、加入促進は難しい」とため息を漏らす。
市内東部の東開町内会では近年、夏まつりの運営や地域の見守り活動などに長年協力してきた役員が高齢化を理由に退会。21年度には、交通安全対策部長の退会を機に、同部と防災部を統合した。牧田俊之会長(60)は「子どもが楽しめるイベントを続けていく中で、親世代に町内会の存在意義をアピールしていければ」と語る。
市は加入促進活動の一環で転入者が多い3月下旬から4月上旬にかけて、市役所で町内会の活動や役割を分かりやすく紹介するロビー展を開催。5月には緑ケ丘公園金太郎の池周辺で行われた「緑ケ丘公園まつり」でチラシ配りも行っているが、加入率が上向く気配は見られない。
近年は加入世帯数減少に伴う財政難から、生活道路に設置された防犯灯の存続も危ぶまれている。
同課は「町内会の加入率低下が続けば、住民同士の支え合いやふれあいのあるまちづくりが難しくなる」と指摘。「転勤族や若い世帯にも町内会活動に興味を持ってもらえるよう、加入促進のPR活動を継続したい」と話している。