かはいいと蒲公英増やす夫の畑小松冨佐子
水盤に敷きたる青い蜻蛉玉
坂口 悦子
散る桜路肩の水の華やげり
山角 瑞希
幾人の故人の笑顔黄たんぽぽ舘崎やよゐ
虎杖の丈なす速さ川の縁高木美代子
一枚の絵画の力夏兆す砂田きぬ代
ぽつぽつと陽の欠片めく黄たんぽぽ墨谷 真澄
杖をつき夏を探して句を探し入谷 露潤
鮮やかや紫陽花の浮く手水鉢沼田 泥舟
ひと口の水の旨さや新樹光
大坂 清子
天清和水のゆたかな里に住み名取 光恵
ベビーカーの嬰の春めく笑顔かな櫻井 伸良
鯉のぼりどこまで続く子らの空山田 凡
庭木より声のこぼれて五月来ぬ桂 せい久
靴音のヒール懐かし夏衣長谷川淑子
母の日や黒子の場所の似てをりし森 美子
ひといろにあらず桜の並木かな千 香
愛車にも水をかけたる薄暑かな ■(吉の士が土) 度 厚彦
一雨に大地彩どり増す五月
髙橋紀美子
春の空その色に又ときめきぬ坂田 敦子
きたえーる期待のレバンガ桜咲く杉山 智子
牡丹や風にも見える重さかな杉山 桂子
太陽の息吹をもらふ春の土
金子 郁子
くろぐろや鼻腔くすぐる春の土小林 奈子
狭き庭息吹確かに春の土五十嵐 幸
京散歩川の色変ふ花筏石川 帆栞
靴変えて弾む足音青き踏む
加藤 舟
声変わり肩幅広く聖五月山田 凡
新茶の香折り目の残る文庫本大泉 和美
薫風よ草木の萌黄運びくる
仲谷 昭子
ブギウギのステップ踏みて春の土今野 末子