阿寒の藤戸さん作品万博に展示 アイヌ文様の大型オブジェ

  • undefined, 道内ニ
  • 2025年6月5日
完成した作品を見上げる藤戸さん(アイヌ民族文化財団提供)

 完成した作品を見上げる藤戸さん(アイヌ民族文化財団提供) 今年4月から開催中の2025大阪・関西万博のギャラリーEASTで10~12日の3日間、アイヌ工芸品や手仕事の実演を見られる「イランカラプテ~アイヌ文化をウポポイから」が開かれる。会場入り口には、釧路市阿寒湖温泉のアイヌコタンで土産物店「熊の家」を営む藤戸康平さん(46)が、同展のために手掛けた新作を展示。同展の展示では唯一の現代作家作品で、藤戸さんは「人によって感じ方の違いを楽しんだり会場に入ってみたいとわくわくしてもらえれば」と話している。

 新作は長さ7メートル、幅2メートル、高さ2・7メートルのアーチ型の大型オブジェ。アルミ複合板と鉄板を使い、アイヌ語でうずまきを意味する「モレウ」と呼ばれる文様を四つで1パーツとし、45センチ角に切り出した。2枚1組で交差させ、1辺17組から組数を減らしながら全306パーツをアーチ状に組み合わせている。板は片面は磨き上げ、一方はさびで腐食させ美しさと危うさを表現。光を当てると床面にモレウが映し出され、光と影のコントラストがアーチ内外で全く違う表情を見せる。タイトルは「Singing for the Future(シンギング・フォー・ザ・フューチャー)」。同じモチーフを使い21年に制作した「Singing of the Needle」の発展形とした。

 パーツの切れ込みや組み立てなどは釧路工業技術センターの瀧本文一専門員(55)の助言を生かした。さびの塗布や板の切り出しは、木工・鉄工加工などを手掛けるケイ・クラフト(釧路市新富士町4)の北村恵介代表(47)が協力。藤戸さんは「一人ではできなかった作品」と笑顔を見せる。

 観覧は事前予約不要。作品は同展後、白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)で10月開催のアイヌアートショーでの展示が決まっている。

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