選択とは

  • 夕刊時評, 苫1面
  • 2025年6月5日

 選択的夫婦別姓制度を巡る法案の行方が気になっている。衆院法務委員会で4日、同法案の実質審議が始まった。同委員会での審議入りは1997年以来28年ぶり。与党は関連法案を見送ったが、複数の野党の提案で今に至る。

 改姓による社会的不利益の解消などの目的は共有できても、野党内でもその方法に違いがあるようだ。立憲民主党と国民民主党はいずれも別姓を選べるように民法改正を目指すが、子どもの姓の決め方が異なっている。日本維新の会は旧姓の通称使用を法制化する戸籍法改正を主張する。どの党も過半数を得る見通しは立っていないが、まず採決に入れるかが重要と考えている。別姓選択をめぐっては自民党内にも推進派がいるほか、公明党も支持を示しており、与野党問わず本気度を見極めることができるからだ。

 制度化されても、従来通りに同姓婚も希望でき、子どもへの影響は事実婚などで別姓親子の家庭がすでにあるため、それほど心配はないだろうと思う。疑問なのは、ここまで変化に慎重な与党が時に反対を押し切って法案を通すことがあることだ。参院で審議中の日本学術会議法案には多くの学者らが独立性の確保に懸念を訴えるが、この声を与党は無視することを選択していないか。(河)

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