壮瞥町仲洞爺で、ワインの醸造所の建設工事が着々と進んでいる。運営するのは、ユニットハウスの製造販売・レンタルを行う三協フロンテア(千葉県柏市)創業者の長妻和男氏が設立した「仲とうや醸造所」。「奥洞爺ワイナリー」の名称で、今秋から壮瞥町内で収穫したブドウで醸造を開始する。
「仲洞爺から見た洞爺湖に沈む夕日に魅せられた」という長妻氏。2019年に別荘を構え、セカンドライフとして離農農家から農場を引き継ぎ、果樹栽培を始めた。千葉県内でワイン用ブドウの栽培、委託醸造をしていたこともあり仲洞爺でのワイン用ブドウの栽培、醸造所の建設を決めたという。
醸造所は仲洞爺キャンプ場向かいで、道道洞爺公園洞爺線沿いに建設。平屋で醸造棟と貯蔵棟があり、床面積は約500平方メートル。年間6000~7500リットルの醸造が可能。建物は6月下旬には完成する見通し。試飲スペースや醸造工程の見学も可能にするという。
同社のワイン用ブドウは23、24年で仲洞爺のほ場約2・5ヘクタールに計3000本を植樹。品種はピノ・ノワール、シャルドネをメインとした赤、白の5種類ほど。今秋に一部収穫が始まる。合わせて町内の栽培農家からの協力を得て、初年度は6000リットルほどの醸造を予定し、来春の完成を目指す。
醸造所の隣には24年11月に完成した「奥洞爺カフェ翡翠(かわせみ)」がある。2階建て延べ床面積は250平方メートル。ワインのリリースと合わせてオープン予定だ。1階は農産物の直売所、2階ではワインや食事の提供を計画している。
施工に携わる三協フロンテアのシステムハウス推進部の神谷忠成部長は、ワインは裾野が広い産業であるとし「(長妻氏は)農業と観光を融合させて仲洞爺を発展させたい」と思いを代弁する。
仲とうや醸造所の醸造責任者を務める五十嵐樹さんは、道内でワイナリーが増えているとし、「ブドウ栽培地としてのポテンシャルはどこにも引けをとらない。仲洞爺の人たちが誇りに思え、全国の人たちに知れわたるワインを造りたい」と力を込めた。
長妻氏はこのほか、仲洞爺地区にグランピング施設を営業。今後地ビールの工場も計画しているという。
仲とうや醸造所が建設しているワインの醸造所。奥はカフェ翡翠