日米両政府は、カナダで15~17日に開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて首脳会談を開き、トランプ米政権の関税措置見直しで合意することを模索している。ただ、両国の立場には依然隔たりがあり、一致点は見いだせていない。サミットが目前に迫る中、交渉役の赤沢亮正経済再生担当相は週内にも再び訪米し、ぎりぎりまで米側との接点を探る考えだ。
赤沢氏は9日午後、自民党本部で「米国の関税措置に関する総合対策本部」に出席。終了後に記者団に対し、サミット前にベセント米財務長官らと交渉することについて「あり得ると思うが調整中だ」と語った。再び訪米すれば4週連続で、閣僚級交渉は6回目となる。
日米はサミットでの首脳会談を合意のめどとして協議を続けてきた。日本側は自動車への追加関税などを含む一連の措置全ての撤廃を求めているが、米側は難色を示しており、5回の交渉を経ても折り合っていない。
赤沢氏は「現時点で一致点を見いだせる方向性はまだ分かっていない」とも指摘。その上で「一致点が見通せなくても、どういう話を両首脳でしてもらうかは交渉担当者としてきちんと考えておかなければならない」と語り、米側との調整に全力を挙げる姿勢を示した。自身の首脳会談への同行については「もちろんあり得る」と説明した。
日本はこれまでの交渉で、液化天然ガス(LNG)の購入拡大や、米国産車を日本に輸出しやすくする仕組みなどを提案。また、日本の車メーカーが米国内で生産した車を第三国に輸出し、米国の貿易赤字削減に貢献すれば関税率に反映させる案も示している。交渉カードを武器に譲歩を迫る考えだが、日本政府内には全ての関税措置の撤廃は難しいとの見方も出ている。