SNS発信制限 緩和へ大詰め 感動共有と権利保護、両立は プロ野球

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  • 2025年6月10日
プロ野球公式戦を撮影する観客のスマートフォン=5日、みずほPayPay
プロ野球公式戦を撮影する観客のスマートフォン=5日、みずほPayPay

 感動を広く共有することが当たり前となったSNS時代。プロ野球界が、これにどう対応するのか揺れている。日本野球機構(NPB)は、今年2月から観客によるプレー中の写真、動画などのSNSでの発信を禁止した「写真・動画等の撮影及び配信・送信規程」の運用を開始。プロ野球選手会が「他競技と比べても過度な規制」として緩和を再三要望するなど波紋が広がった。

 「規程」では撮影自体は自由で、インスタグラムやXといったSNS、ブログ、ユーチューブなどでの配信、送信に制限がある。昨季まで、無許可でライブ映像を投稿するなど悪質な行為を禁止する規則はなかった。放映権、選手らの肖像権、球場スタッフや観客のプライバシーを守る立場のNPB側とすれば、SNSの持つ影響力は理解しつつ、権利侵害を野放しにできないと判断した。

 日本ハムは「規程」の例外を根拠に独自に観客の発信を許可した後、3月にNPBから勧告を受けて撤回した。ただ、「『プロ野球の普及発展』『球場観戦の価値向上』を実現するためには、球場で撮影した魅力的なコンテンツを自由に発信できることが不可欠」との主張は一理ある。

 2日に行われた定例のNPB理事会では、改めて規制見直しについて議論した。これまでに発信できる動画の長さを現状の140秒から短くする案も出るなど意見はさまざま。NPBの中村勝彦事務局長は「真剣にお客さんのこと、選手のこと、多方面を考えて(各球団は)発言している。総じて言えるのは、なるべく緩和の方向で進めていくということ」と話す。球場で観戦する感動の共有と、権利保護をどう両立させるか。7月14日に開かれるオーナー会議での承認を目指し、話し合いは大詰めを迎えている。

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