脱炭素最先端の動き紹介 CCUS推進協が講演会

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  • 2025年6月11日
CCS事業化について説明する池野氏
CCS事業化について説明する池野氏
次世代インフラの展望を語る浅沼氏
次世代インフラの展望を語る浅沼氏

 苫小牧市と苫小牧CCUS・ゼロカーボン推進協議会(会長・金澤俊市長)は10日、脱炭素社会実現に向けた取り組みを説明する講演会を市内のホテルで開いた。国や企業の関係者ら3人が登壇し、二酸化炭素(C O2 )を分離、回収、貯留する技術CCSの事業化やGX(グリーントランスフォーメーション)の最先端の動きを紹介。地元企業や団体などの関係者ら約180人が耳を傾けた。

 石油資源開発(東京、JAPEX)の池野友徳国内カーボンニュートラル事業本部長は、同社が出光興産、北海道電力と共に苫小牧地域で構想するCCS事業化について講演。3社は独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の先進的CCS事業を受託し、26年度中にも事業化の可否を判断しようと調査を進める中、国がCCS事業法に基づく「特定区域」に指定した苫小牧沖での試掘調査について「11月末から12月前半ぐらいに開始したい」と展望した。

 JAPEXは、国の大規模プロジェクトで19年、苫小牧沖にC O2 の30万トン圧入に成功した日本CCS調査(東京)の株主。これまでの豊富な知見や実績、試掘に向けて地権者や近隣住民、事業者に説明する準備も進めていることに触れ、「安全にやり遂げるため、どんな準備をすればいいのか、日夜取り組んでいる」と強調。試掘に向けて「C O2 が貯留できる層があるかなどをテストする」「来年には事業化判断をし、30年の事業開始に向け準備する」と意気込んだ。

 講演会ではこの他、苫小牧東部産業地域(苫東地域)で大型データセンター(DC)の建設工事を進めるソフトバンク(東京)のテクノロジーユニット統括次世代社会インフラ推進室の浅沼邦光室長が「ソフトバンクの次世代社会インフラ構想について」をテーマに講演した。

 浅沼室長は、AI(人工知能)性能の進化の速さを「4年ごとに1000倍」とし、データ処理や電力の需要も急増する状況を説明。「インフラの再定義が必要」と訴え、「都市部に集中しているデータ処理を地方分散することで解決する」と述べた。その上で苫東地域のAI・DCについて「冷涼な気候で空調コストの大幅な削減が可能」とし、再生可能エネルギーの活用も含めて苫小牧の優位性を示した。

 経済産業省資源エネルギー庁資源・燃料部カーボンマネジメント課長の刀禰正樹氏も「わが国のCCUS政策と苫小牧GXの展望」の演題で講演した。

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