膝の痛みの軽減や歩行機能改善に有用な「人工関節全置換術」でステロイドを使用すると、術後感染のリスクがわずかに上昇していたと、横浜市立大大学院などの研究グループが発表した。
術後の痛みを軽減するために投与するステロイドは免疫抑制作用があり、術後感染のリスクが懸念されている。
研究グループは2016~22年の全国医療情報データに基づき、人工関節全置換術を受けた24万2571例について、ステロイド使用の有無で分類し、術後感染による再手術率などを比較した。
解析の結果、ステロイド非使用グループの再手術発生率は0・25%だったが、使用グループでは0・40%だった。また、①喫煙歴②複数の持病③日常生活動作で介助が必要―に該当する人で感染リスクが高かった。
研究グループは「痛み軽減効果を考慮すると、ステロイド使用を全面的に控えるべきとは言えない」とした上で、「リスクがある人は十分注意を払う必要がある」と指摘している。
(メディカルトリビューン=時事)