泊原発(後志管内泊村)の核燃料輸送船が出入りする新港について、泊村内の渋井地区に建設する計画を発表した北海道電力の藤井裕会長は12日、道庁を訪れ、鈴木直道知事に計画の概要を報告した。藤井会長は「6月中に泊村の住民の皆さんを対象とした説明会を開催し、丁寧に説明していきたい」と述べた。知事は「安全性の確保、そして地元の皆さんに対しては速やかに、分かりやすく、丁寧な説明に努めていただきたい」と求めた。
北電が11日に発表した計画によると、新港は泊原発の約1キロ北にある渋井地区の海岸沿いに建設する。港と原発の間は核燃料の陸送が必要で、一般車両を走らせない専用道路を造る。具体的には原発との間を、周辺の住宅地や国道を迂回(うかい)する約1・8キロの専用道路でつなぎ、住民の不安解消を図る。
海岸沿いを走る国道229号の下にトンネルを掘り、渋井地区の住宅地を避けつつ、山側を大回りして原発に至る線形とする。標高が高い土地にはトンネルを掘り、河川の近くでは橋を架けることを検討している。ただ、詳細設計はこれから。着工時期は未定で、北電が「2027年早期」とする泊原発3号機の再稼働後の見通し。
藤井会長は11日に泊村の高橋鉄徳村長に概要を報告。村長から①燃料輸送について安全性を確保し、関係法令にのっとって適格に行うこと②津波評価結果に応じた対策を講じ、安全性の確保を最優先に進めること③荷揚げ場等の候補地とされる渋井地区の住民、村民全体を対象とした住民説明会を開催し、丁寧に説明すること―の3点を求められたことを説明。「今後、泊発電所の安全対策全般に関し、後志総合振興局管内及び道内の弊社、支社所在地で説明会を計画しており、その中で事業所外運搬に関しても広く道民の皆さんに分かりやすく、丁寧に説明していきたい」との姿勢を示した。
知事は「地元の皆さんはもちろん、道民の皆さんも広く関心を持たれている」と指摘。「皆さんが思う疑問に対して、分かりやすい説明を心掛けて、適切な対応を取っていただきたい」と述べた。