【ワシントン時事】日本製鉄は13日、米鉄鋼大手USスチールの普通株式を100%取得し、完全買収すると明らかにした。米政府との間で「国家安全保障協定」を結び、経営の重要事項に拒否権を行使できる「黄金株」を米政府に発行する。両社は「トランプ米大統領が歴史的なパートナーシップを承認した」とする声明を発表。計画発表から1年半のこう着を経て、日米の巨大鉄鋼企業が誕生する。
トランプ氏は同日、バイデン前大統領による日鉄のUSスチール買収中止命令の修正を命じた。
黄金株は、取締役の選任や解任、合併などに関して拒否権のある株式。少ない持ち分でも、経営の重要事項に介入できるため、買収後も米政府がUSスチールに対する影響力を持つことができる。トランプ氏はUSスチールについて「米国が支配する」と繰り返し強調してきた。
国家安保協定には、2028年までに約110億ドル(約1兆6000億円)の新規投資を行うことが盛り込まれた。日鉄とUSスチールは、「米国の鉄鋼業を再び偉大にするため、実行に移していく」と強調した。両社の24年の粗鋼生産量は約5800万トンで世界4位。