白老町立国民健康保険病院は11日、ハラスメント防止の基本と対策をテーマとする職員研修会を外来待合ロビーで開いた。特定社会保険労務士で北海道医療勤務環境改善支援センターの医療労務管理アドバイザー山口民枝さんが「知らぬ間に壊れる職場、安心して働ける職場」のテーマで講演し、看護職や事務職ら55人が医療現場の特性を踏まえた防止策を学んだ。
院内すべての職種を対象とした全体研修としては、病院改築後初。「たった一つのハラスメントでも病院全体を揺るがす問題になる」と山口さんは指摘し、「一人ひとりが自分ごととして捉えることが第一歩」と語った。
講演では、代表的な事例としてセクハラ、マタハラ、パワハラの定義と法的リスクを紹介。業務指導との違いが曖昧になりやすいパワハラに関しては、「叱責は人格否定ではなく成長のための助言であるべき」とし、「指導後のフォローや日ごろの信頼関係が不可欠」と強調した。
「気づかぬ加害者にならないための10か条」も示され、言葉の受け取り方に配慮することや、感情任せの叱責を避けること、相談しやすい職場づくりを意識するよう呼び掛けた。
研修終盤で山口さんは「ハラスメントは百害あって一利なし。誰も幸せにならない」と繰り返し、「感謝を具体的に伝え、マスク越しでも笑顔を忘れない」といった小さな実践の積み重ねが、職場全体の空気を変えると締めくくった。