目で見たミスター

  • ニュース, 夕刊時評, 苫1面
  • 2025年6月16日

 小学1年で父に野球のバットを買ってもらった右腕投球の小職が素振りをやると左の構えで振り始め、そのまま「左打者」になった。バッターなら当時の巨人で本塁打王の王貞治さんに憧れた。

 3年後に入った少年野球チームの6年生と野球談議をした際に「お前はテレビで長嶋引退を見たか」と問われ、見なかったと言うと「俺は一番感激した」などと先輩が熱く語った。コンビ「O砲」王さんの現役は1980年まで続いたが、後に上京して学生だった頃、右打者「N砲」長嶋の74年引退試合を後楽園球場客席で実際に観戦したと言うアルバイト先でお世話になった年輩の管理職氏が「わが巨人軍は永久に不滅です」との名せりふが場内に響いたシーンの情景を趣深げに語ったことを思い出す。「ミスタープロ野球」長嶋茂雄さんが3日、89歳で亡くなり、国内大ニュースとなった。

 大病を患った後、懸命のリハビリで機能回復に努めて公の場に戻った長嶋さんが男子プロゴルフ大会名誉会長に就任したセガサミーカップが前勤務地の千歳で続き、幾度か取材した。試合場に姿を見せて観客や出場選手の顔に感嘆、尊敬、親愛の情が浮かんで小職も心動かされた。見る人々の気持ちを活気づかせる類いまれなヒーローが本当にいた。(谷)

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