プロ野球日本ハムでプレーした斎藤佑樹さん(37)が、空知管内長沼町に少年少女専用の野球場建設に取り組んでいる。日本ハムの本拠地、エスコンフィールド北海道も見える球場から、未来のプロ野球選手が誕生することを願っている。
▽栗山さんも感動
5月5日のこどもの日。斎藤さんは昨年8月から建設に携わってきた球場を、報道陣に公開。地元の野球チームを招いて、記念試合を行った。日本ハムの栗山英樹チーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)も駆け付けた。始球式では斎藤さんが投手、栗山CBOが打者を務めた。
斎藤さんは「子供たちが明るく元気に楽しんでくれていることが、すごくうれしい」。栗山CBOは「子供にとって必要なものを、形として造ってあげたいというのが本筋だと思う」と話し、「これ以上のことはない。僕の方が感動しているかも」と目を細めた。
▽伸び伸び野球を
関東地方を中心に、全国各地で球場に適した場所を探していた。50カ所以上の球場、山や畑も訪れた。長沼町を選んだ決め手は、土地が平たんだったこと。20年前まで野球場として使われていたから、土壌も適していた。近隣には栗山CBOが手掛ける少年野球場「栗の樹ファーム」、そしてエスコンフィールド北海道もある。斎藤さんは「たまたま巡り巡って出合えた土地。運命的なものも感じる」と語る。
「はらっぱスタジアム」と名付けられたこの球場は両翼70メートル、中堅85メートル。斎藤さんが重視したのは、高さ1メートルの外野フェンスだ。少年野球ではフェンスを備えた球場が少なく、ランニングホームランがよく見られるが、「日本の子供たちにオーバーフェンスのホームランを打つ経験をしてほしい。伸び伸びと野球をしてほしい」。5月5日の記念試合後には、子供たちと木製フェンスのペンキ塗りに汗を流した。
▽理想の球場目指して
斎藤さん自身、雑草を刈り取る作業から取りかかり、町民の協力も得て野球ができる状態まで造り上げた。内外野に天然芝を植えたり、周囲に植樹したりして完成させる予定だ。将来的に、球場近くに宿泊施設を建てる夢もある。
斎藤さんは東京・早稲田実高時代、エースとして夏の甲子園でチームを優勝に導き、「ハンカチ王子」の愛称で親しまれた。「このような球場で野球をした経験は忘れられないもの」と言い、今後も、子供たちのために理想のボールパークを目指していく。