【ブダペスト時事】ブダペストで開催されている柔道の世界選手権で、五輪連覇の日本男子2人が優勝を逃した。66キロ級の阿部一二三(パーク24)は準々決勝で、同級個人戦では6年ぶりの黒星。81キロ級の永瀬貴規(旭化成)は本来の姿を見せられず、初戦で敗れた。
死力を尽くした五輪から、次なる戦いへ向かう難しさを改めて痛感しただろう。現役時代にアテネから北京へ五輪連覇に挑んだ経験を持つ日本男子の鈴木桂治監督は「モチベーションをもう一度莫大(ばくだい)なものにしてぶつけるのは非常に難しい」と心情を代弁する。
日本柔道で五輪3連覇を遂げたのは、男子60キロ級で1996年アトランタ、2000年シドニー、04年アテネを制した野村忠宏のみ。歴史が物語るように、2人の王者にとって28年ロサンゼルス五輪への道は想像以上に過酷だ。鈴木監督は「すごく長い3年になると思う。本人の気持ちを固めた上で、次のアプローチになる」と言い、2人の動向を注視していくとした。
「この負けは無駄にならない」と前向きに語った阿部一に対し、永瀬は「自分としっかり向き合う時間が大切」と疲弊した様子もうかがわせた。山田利彦強化委員長は「今回の負けが次に向かう糧になればいいし、そうしてくれるだろうと思う」と再起に期待した。