美しい所作を身に付ける 慌ただしい日常の中でつい動作が雑になり、背中が丸まって姿勢が悪くなるときもあるでしょう。
茶道の世界では、形を整えることが心を整えることにつながると考えられています。一つ一つの所作が美しく、無駄がありません。
お辞儀の仕方、歩き方、道具を清めるときの手の動きなど、どの所作も流れるような動きの中に静けさがあります。
外国人のお客さまに「茶道はまるで舞踊のようで美しいですね」と言われたことがあります。
例えば、お茶をたてる一連の所作はゆっくりと、指先まで神経を行き渡らせます。心が落ち着き、目の前の時間に集中することができるのです。
この形を整える意識は、日常生活にも生かすことができます。
例えば、立ち姿や歩き方に気を配るだけで、気持ちが引き締まり、やる気が出ませんか。また、食事のときに箸をきちんと持つ、食器を丁寧に扱うなど、毎日の小さな動作を意識するだけで、暮らしが豊かになり落ち着きが生まれます。
茶道では、繰り返し練習することで自然と美しい所作が身に付きます。同じように、日常でも背筋を伸ばし、物を丁寧に扱い、ゆっくりと動くことを意識するだけで、落ち着いた印象を与え、自分に自信が持てるのではないでしょうか。
(竹田理絵・裏千家茶道教授)