試合終盤。日本ハムの北山が一つアウトを取るたびに、東京ドームに割れんばかりの拍手が響き渡った。九回1死まで巨人打線を寄せ付けず無安打投球。1失点完投で5勝目をつかんだが、ノーヒットノーランにはあと一歩及ばず「悔しくて眠れないかも」と笑った。 150キロ超の直球は、相手打者を押し切れる力があった。フォークなど変化球も生きて凡打の山を築き、七回2死から四球を与えるまで完全投球。「目標は高く、（完全試合を）目指そうという気持ちがあった」。九回に大城卓にソロを浴びて快挙も完封も消えたとはいえ、先発の役割は十分に果たした。 直球には確信にも似た手応えがある。前回12日のヤクルト戦では、8回1失点、14奪三振。「しっかり指にかかって、差し込むボールになっていた」と自信を深めていた。 京産大からドラフト8位で2022年に日本ハム入りした右腕。1年目に新庄監督から開幕投手に抜てきされた。監督は「俺の見る目があったということ」と自賛しつつ、「成長するスピードはかなり速い」とうなった。 この試合を終えて規定投球回をクリアし、防御率1・15はパ・リーグトップ。16年以来となるリーグ優勝へ、この先も大きな力となるに違いない。