茨城県神栖市で地域医療の発展に取り組む医師と医学生が18、19両日、白老町内を訪れ、白老町立国民健康保険病院などを視察した。2人は地域の現状と可能性を探ろうと、町内で活動するコミュニティナース(コミナス)とのつながりから来町。若手医療人材と地域住民が支え合う医療の在り方を模索していた。
来町したのは、神栖済生会病院の阪本直人医師と、筑波大学6年の医学生、山本司さん(23)。町立病院や助産院のほか、阪本医師と交流がありコミナスとして町内で活動する看護師須貝夢乃さん(29)が拠点とする温泉施設などを訪問した。
18日には大塩英男町長を表敬し、町の地域医療の現状や将来像について意見を交わした。地元と協働して神栖済生会病院に学生を受け入れてきた阪本医師は「医師を〝呼ぶ〟のではなく、地域が医療人材を育む文化づくりが必要」と力説し、住民や行政による協働の重要性を強調した。山本さんは医療系学生のコミュニティー「ちいここ」を主宰し「白老の人々の温かさや柔らかさに触れた。ここで働いてみたいと感じる(医療系)学生は多いはず」と語った。
須貝さんは2021年に同じコミナス基礎講座を受講したことをきっかけに阪本医師と交流を継続し、今回の来町の橋渡しをした。阪本医師は視察を通じ、「地域の小さな気付きをつなぐ『おせっかいネットワーク』が、医療資源の限られた現代で地域医療をカバーしていく鍵になる」と助言した。