試合が終わると、何度も拳を握ってうなずいた。女子59キロ級の尾西が連覇を遂げ、初の世界選手権出場を決めた。昨年は東京大会まで五輪2連覇の金城梨紗子にプレーオフで惜敗して世界選手権出場権を逃しただけに、「悔しさを晴らせてうれしい」と実感を込めた。
決勝は足を動かしながら、守備で主導権を握った。無理に攻めた相手の隙を突くカウンターなどで得点し、永本聖奈(アイシン)に快勝した。
1カ月前に突然、指導者から徹底的に守備を磨くように言われた。スパーリングでは得意なタックルが禁止となり、相手のタックルを足で切るだけ。「きつかった」というが、大学の先輩でパリ五輪金メダルの藤波朱理のまねをするなどして練習した。「やってよかった。全てが結び付いた」
今年のアジア選手権を制した19歳の有望株。「ロサンゼルス五輪に向け、いいスタートが切れるように世界選手権は必ず優勝する」と威勢よく言った。