推し活

  • 夕刊時評, 苫1面
  • 2025年6月6日

 先日、知人の女性3人と札幌観光を楽しんだ。1人は道内在住者で、2人は大阪と香川から来道。観光施設を巡り、北海道の風景やグルメを満喫した。

 実は記者を含め、本名や住所、職業は互いに知らない。年代も20~50代とばらばら。日常では出会うことのなかった人同士をつなげたのは、「推し」の存在だ。とあるゲーム実況者グループのイベントで偶然出会い、数年前から交流を続けている。札幌観光でも、風景や料理を背景に推しの縫いぐるみを写真に撮影する、いわゆる「ぬい撮」という推し活を楽しんだ。

 大人になって縫いぐるみ遊びをしているようで気恥ずかしさもあったが、「好き」を共有できる人と過ごす時間は、驚くほどに心を癒やしてくれた。調べてみると、好きなものを考えている時、脳内には幸せホルモンと呼ばれる物質が分泌されるそう。幸せホルモンは健康維持にも役立つとされており、健康寿命の延伸の視点からも、シニア層の推し活が社会的に推奨されているという。

 推す対象は、有名人やキャラクターに限らず、動物や乗り物、歴史上の人物、仏像、建築物など、何でもいいそう。自分の好きなものにじっくりと思いを寄せる時間を大切にしたい。(百)

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