陸上の2019年世界選手権ドーハ大会男子400メートルリレーで第2走者を務め、37秒43のアジア新記録での銅メダル獲得に貢献した白石黄良々(セレスポ)が、復活に向けて闘志を燃やしている。ここ数年は故障や病気など試練の連続だが、「まだまだやれる」と再起を誓う。
5月24日の東日本実業団選手権100メートル予選。30~40メートル付近で力を緩め、11秒17の組5着でゴールした。春先にふくらはぎの肉離れを起こし、ようやく迎えた今季初戦だった。「試合の雰囲気を味わわないと体と心に刺激が入らない。それを得るため、どんな結果でも走ろうと決めていた」
19年世界選手権の400メートルリレー決勝。日本はエース級が集う第2走者区間(100~200メートル)で9秒04を記録した。これは白石が世界トップクラスの走りを披露した証しだ。
近年は故障が続き、2年前には精神的な不調で自宅に引きこもった時期も。「何回も(競技を)やめようと思った。SNSで心ないコメントも多くて、やり切れない気持ちだった」と明かす。昨年は右足底がウイルスに感染して「とげが刺さるような」痛みに苦しみ、今も治療を継続中だ。
シーズン前の冬季は世界選手権のリレーで銅を手にした仲間でもある桐生祥秀(日本生命)と共に練習を積み、復調への手応えを得た。「100%やり切ったと言えるシーズンを探して走り続けている。それなくして、引退するわけにはいかない」。29歳の心の火は消えていない。