人口減少

  • 夕刊時評, 苫1面
  • 2025年6月17日

 苫小牧市の2025年の人口は16万6550人―。そんな推計を7年前、国立社会保障・人口問題研究所が発表した。実際の人口は16万4789人(5月末現在)と推計よりも少なくなっており、減少スピードの加速を感じている。

 多くの自治体で人口密度が下がり、人と人との距離が広がる中、人をつなぐサロンや子ども食堂が地域にできて、身近な心のよりどころになっている。多様な価値観を認めることにもつながり、自分らしくいられる場で生まれる新たな人間関係に期待が持てる。また、都市部から地方への転入者が増え、移住先で伴侶を見つけ、子どもを育てる若い世代が出てきた。この状況が続けば、都市と地方の格差はやがて是正され、自然豊かな地方暮らしは注目されてきそう。

 人口減少は、国力の弱体化や〝世界の中の日本〟の格下げを意味する。必要な物資を輸入したい時に相手にされず、困り事が起きるかもしれない。人手不足、過疎、社会保障制度の給付と負担バランスの崩壊などの課題も山積みだ。

 それでも、悪いことばかりではないという視点をどこかに持ち続けたい。ピンチはチャンスと言われてきた。問題の隙間から見える良い動きや流れから、活路を見つけ出せると信じたい。(林)

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