高校生の頃だったろうか。友人の家へ泊まりがけで遊びに行き友達や先生のこと、異性のこと、互いの将来のことなどを空が白むまで話していた時期がある。力いっぱいおしゃべりな、思春期の男子の不思議な習性だったかもしれない。
政府がまとめた2024年版「高齢社会白書」の原案が先日、報道された。内閣府が昨年10~11月、全国の65歳以上の男女約2700人を対象に行った調査の結果に考えさせられた。親友が「たくさんいる」と答えた高齢者は前回18年の調査では24・7%いたのに、今回は7・8%へ大幅に減少した。「普通にいる」も47・5%から39・0%に減り、逆に「少しいる」は21・5%から36・0%に増加し、残りは「ほとんどいない」「全くいない」だった。一人暮らしの高齢者の増加が今後見込まれるため、孤独・孤立の対策が必要と判断する根拠になったようだ。新聞には別の調査結果も載る。「無縁遺体 3割増」「引き取り拒否多く」「厚労省 実態調査へ」の見出しも。
「親友はいますか?」。いかめしい名前の調査機関から、そんな質問が送られて来たら自分なら何と答えるだろう。思春期のドキッよりずいぶん心臓によくない。懐かしい顔や声を思い出しながら、口はやっぱり固くなるのだろうか。(水)