第42回全日本女子アイスホッケー選手権大会Aグループは10日、札幌市月寒体育館で決勝が行われ、苫小牧の道路建設ペリグリンが接戦の末、1―2でSEIBUプリンセスラビッツに惜敗し大会4連覇を果たせなかった。3位決定戦はトヨタシグナスが1―6でDaishinに敗れた。
今シーズン最後のタイトルを懸けた大会は7日に開幕。国内上位8チームが出場したAグループは予選上位4チームによる決勝トーナメント、下位チームによる順位決定戦を展開した。
10日
【決勝トーナメント】
▽決勝
SEIBUプリンセスラビッツ2―1道路建設ペリグリン
▽得点者【S】宮崎(水野、小山)水野(小山、宮崎)【道】鎌田(秋本、早川)▽GK【S】小林【道】増原
道路建設は第1ピリオド残り30秒、サイドから切り込まれ先制弾を浴びた。流れをつかめず痛恨の2失点目を許して迎えた第3ピリオド序盤、FW鎌田が反撃ののろしとなるゴール。その後も長い時間攻め続けたが、あと一歩及ばなかった。
▽3位決定戦
Daishin6―1トヨタシグナス
▽得点者【D】小川(浮田、堤)多田(野呂里、野呂莉)野呂莉、小川(浮田)多田(野呂莉、富内)野呂莉(野呂里、多田)【ト】伊藤麻(佐藤、山本)▽GK【D】川口【ト】佐々木玲
トヨタは第1ピリオド2分半すぎ、FW伊藤麻が相手の選手交代タイミングミスの好機を逃さず先制。しかし第2ピリオドに数的有利なパワープレーで失点するなど、要所で失点を重ねて敗れた。
9日
▽準決勝
道路建設ペリグリン6―0トヨタシグナス
▽得点者【道】輪島、鎌田(黒須、富田)高(ラック)細山田(早川、黒須)曽根(後藤、久保田)細山田(秋本、高)▽GK【道】増原【ト】佐々木玲、酒井
SEIBUプリンセスラビッツ3―2Daishin
▽得点者【S】宮崎(曽我部、水野)長岡(鈴木、曽我部)小山【D】野呂里(堤)野呂莉(佐藤、多田)▽GK【S】小林【D】川口
【順位決定戦】
▽5位決定戦 高須クリニック御影グレッズ3―2札幌インフィニティーズ▽7位決定戦 釧路ベアーズ3―2VORTEX SAPPORO▽5~8位決定戦 高須クリニック御影グレッズ2―1釧路ベアーズ、札幌インフィニティーズ3―2VORTEX SAPPORO
―道路建設、4連覇へあと一歩届かず
あと一歩届かず―。激闘の末にSEIBUに敗れた道路建設。スマイルリーグ決勝(2月、帯広市)の雪辱を果たせなかった。寺尾監督は「3ピリの戦いを序盤からできていれば。ペリグリンらしさを引き出してあげることができなかったことが悔しい」と語った。
第1ピリオドに外側から切り込まれて先制を許した。数的不利な状況で確実に決められ2失点目を浴びた道路建設。普段の「らしさ」が出ないまま刻々と時間が過ぎた。試合時間残り3分を残して1―2。同点を狙ったが相手ゾーンでのパックキープができず、GKを上げた6人攻撃の好機もつくることができなかった。「心は燃やしてプレーは冷静に―決勝の舞台なので、メンタル面で良さを引き出してあげたかった。失点を含め相手の試合運びに苦しい試合を強いられた」と振り返った。
チームのムードが一気に上がったのがFW鎌田の得点。ゴール前にこぼれたパックを拾い的確に沈めた。「後がない状況。得点で流れをつかむことだけを考えていた」と話した。
主将のFW高は「悔しい気持ちでいっぱい。大事な時に普段通りのプレーや雰囲気づくりができないことが課題になった。来季はチャレンジャーとして一から頑張りたい」と話した。
―トヨタ、弱気なプレーに焦り
3位決定戦でDaishinに敗れ表彰台を逃したトヨタ。牧野監督は「勝ち越された後から気持ちの弱さが出てプレーに焦りが見られた」と振り返った。
第1ピリオド、相手の選手交代ミスの隙を逃さずFW伊藤麻が先制点。「数的優位な状況だったのでとにかくゴールに集めた」と主力が勢いをもたらした。
1―1のスコアで迎えた第2ピリオドはゴール前の混戦から失点、数的有利なパワープレーでカウンターを許し3失点目と苦しい展開に持ち込まれた。
一度引き寄せた流れも失点が続いて相手に渡り、終わってみれば大きく離された。牧野監督は「最後まで諦めずよく頑張った。シーズン終盤の大きな大会は、チーム力が欠かせないと感じた。来季は練習量を増やし、強い気持ちと自信を持って挑めるように取り組んでいきたい」と語った。
今シーズン、チームを引っぱったDF桜井乃主将。3決の舞台を最後に引退を迎え「主力選手が海外に行き、不安もあった1年。それでも4大会を制することができたり、チーム内の関係性もよく築けた。シーズン終盤の大きな大会での悔しさをバネに、来季もシグナスらしさを持って強くなってほしい」と涙ながらに思いを託した。