学ぶ

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2024年1月17日
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  地震大国と言われる日本。この国で生きていくための、洗礼のような地震がある気がする。自分は1982年3月21日朝の浦河沖地震の反省を、忘れない。

   異動が決まって、支局の6畳間で4歳の長男の相手をしながら本などの片付けをしていた。居間を挟み、もう一つの6畳間では部屋の中央に敷いた布団で、間もなく1歳になる次男が寝ていた。何かしらせでもあったのか、覚えたばかりのハイハイで移動を始めた。揺れは、布団を出て居間に着き、父に手を振った頃に始まった。急いで抱き抱えて長男とひとまとめにして体で覆い、揺れの収まりを待った。横揺れ、縦揺れが長く続いた。次男が通り過ぎた後、居間のテレビが台から転げ落ちた。後で見ると次男の寝ていた敷き布団の上に和だんすの上段も転がっていた。角から落ちたらしく下の畳には三角の切り込みがざっくり彫られていた。もしもあの時、次男が目を覚ましていなければ「負傷167人」となっている、この地震の人的被害の冒頭に「死亡1」が加わっていたかもしれない。

   きょうは阪神・淡路大震災から29年。朝から関連のニュースが多い。能登半島地震のニュースも続く。忘れてはならない、安全への教えが、それぞれの地震にある。学び、忘れずに実践したい。(水)

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